マウス由来抗原とFcとの融合タンパク質をウイルス粒子表面に持つオーエスキー病ウイルスは自己抗原に反応する有害な抗体を産生しない(ウイルス学)
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概要
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抗体分子Fc領域をふくむキメラ蛋白(mTR-Fc)をウイルス粒子表面に持つオーエスキー病ウイルス(PRV/Fc)をマウスに接種すると,通常のウイルス粒子(PRV)による免疫に比してより強い抗ウイルス免疫反応を誘導した.mTR-Fc分子はマウストランスフェリンレセプター(mTR)とFc領域とが融合されたものである.このような自己抗原とFcとの融合蛋白は時として自己抗原に対する抗体を誘導することから,PRV/Fc免疫により生体に有害な自己抗原の誘導がないかを検討した.PRVまたはPRV/Fcでマウスを免疫したところ,PRV/Fc免疫マウスにおいてマウス由来3T3/A31細胞(A31細胞)と反応する抗体が高いレベルで産生された.しかし,抗mTR抗体はウエスタンブロット法および間接蛍光抗体法で検出されなかった.PRV/Fc免疫マウス血清はA31細胞の約16kDaの抗原と強く反応したが,これはmTRの分子量とは異なった.また,PRV免疫マウスからも同様の抗原を認識する抗体が低レベルで検出された.これらの結果から,PRV/Fc免疫マウスから検出されたA31細胞と反応する抗体はmTR-Fcによって特異的に誘導されたものではないことが明らかとなった.またPRV/Fc免疫マウスにおいて自己免疫疾患を疑う組織障害や臨床症状は認められず,PRV/Fc接種による自己免疫疾患の発症は認められなかった.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2006-11-25
著者
-
林 良博
東京大学大学院農学生命科学研究科国際動物資源科学研究室
-
松本 安喜
東京大学大学院農学生命科学研究科応用免疫学研究室
-
太田 陽子
東京大学大学院農学生命科学研究科国際動物資源科学研究室
-
林 良博
東京大院農
-
林 良博
東大農獣医解剖
-
林 良博
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
林 良博
東大医科研寄生虫研究部
-
林 良博
東京大学 獣医解剖
-
林 良博
編集委員
-
松本 安喜
東京大学大学院農学生命科学研究科国際動物資源科学教室
-
松本 安喜
東京大学大学院農学生命科学研究科国際動物資源科学研究室
-
高島 康弘
岐阜大学応用生物科学部獣医寄生虫病学
-
林 良博
Department of Veterinary Anatomy, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo
-
高島 康弘
岐阜大学応用生物科学部獣医寄生虫学分野
-
Hayashi Yoshihiro
Department Of Veterinary Anatomy Graduate School Of Agricultural And Life Sciences The University Of
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