フタコブラクダ(Camelus bactrianus)における背側隆起の付着機構に関する解剖学的検討
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概要
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フタコブラクダ(Camelus bactrianus)の背面に発達する2つの隆起(瘤)に関し, その体幹への付着固定に寄与する構造を解剖学的検討した.2つの隆起はいずれも皮下に発達する脂肪の集塊で, 底面部に結合組織のシートを備えている.前方隆起は底面部の結合組織に発達する線状の突出部が, 分節状に広がる僧帽筋胸部と強固に付着していた.さらに僧帽筋胸部は深層にある胸菱形筋に付着し, いずれも胸椎棘突起側面に巨大に発達する項靭帯・棘状靭帯から起始していた.前方隆起は, 僧帽筋, 菱形筋, 項靭帯・棘上靭帯からなる胸部背側の構造によって, 位置を保持されていることが明らかとなった.一方, 腰部に発達する後方隆起は, 棘上靭帯および体側の皮下脂肪の上に付着していたが, 前方隆起に見られたような複雑な付着構造は存在しなかった.これまで, 近縁のヒトコブラクダ(Camelus dromedarius)の瘤は, 基本的にフタコブラクダにおける後方隆起のような単純な構造で保定されていることが明らかにされてきた.したがってフタコブラクダの前方隆起の保定パターンは, タクダ類における背側隆起の保定パターンとしては独特なものと考えられ, 脂肪蓄積装置としての背側隆起の起源と進化を検討する上で, 興味深い対象となろう.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2000-02-25
著者
-
林 良博
東京大学大学院農学生命科学研究科国際動物資源科学研究室
-
遠藤 秀紀
国立科学博物館動物研究部
-
林 良博
東京大学農学部獣医解剖学教室
-
遠藤 秀紀
京都大学霊長類研究所
-
林 良博
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
林 良博
東京大学 獣医解剖
-
林 良博
東京大学農学部
-
遠藤 秀紀
国立科学博物館動物研究部:(現)京都大学霊長類研究所
-
Cao Gui-fang
内モンゴル農業大学獣医解剖学教室
-
Borjihan Dugarsuren
内モンゴル農業大学獣医解剖学教室
-
Borjihan Erdemtu
内モンゴル農業大学獣医解剖学教室
-
Dugarjav Manglai
東京大学農学生命科学研究科獣医解剖学教室
-
Hayashi Yoshihiro
Department Of Veterinary Anatomy Graduate School Of Agricultural And Life Sciences The University Of
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