赤坂御用地に移入されたタヌキの病理解剖学的検討
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概要
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赤坂御所においてタヌ牛の死亡個体を収集,病理学的検討を加えたので報告する.収集されたタヌキは死後5日から1週間程度経過したものと推察され,毛皮の鮮度は落ちていて標本化は困難であった.頭部背側に皮膚から筋順に達する大きな損壊が見られた.おそらくハシブトガラスによる食害痕と思われる.腹腔,胸腔に腹水,胸水の貯留は見られず,腹腔内壁,胸腔内壁に,炎症などの病変は見られなかった.消化管は全体に正常であったが,十二指腸部に顕著な赤変部が確認された.比較的重い出血性炎症を起こしていたものと推察される,肝臓,脾臓には病変は見られず,腎臓は割面からの観察でもきれいな三層構造を維持し,漿腹面下の状態にも異常はなかった.胸腔では心臓において左右両心室に拡張が生じ,心室壁が薄く変化していた.肺は各葉とも正常だった.このように,全身症状を推察されるような病理学的所見は見られず,直接の死因が確定できるものではなかった.しかし,十二指腸と心臓の病変は無視できるものではなく,この両臓器の変化が個体の健康状態に影響を与えた可能性は指摘できる.今後本個体から得られた遺伝学的材料から,赤坂集団の起原が確認されよう.
- 2005-03-25
著者
-
上塚 浩司
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室
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遠藤 秀紀
国立科学博物館動物研究部
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遠藤 秀紀
京都大学霊長類研究所
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本道 栄一
山口大学農学部獣医学科家畜解剖学教室
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上塚 浩司
東大 大学院農学生命科学研究科
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上塚 浩司
東京大学大学院農学生命科学研究科
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上塚 浩司
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学教室
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林田 明子
帯広畜産大学家畜解剖学教室
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遠藤 秀紀
国立科学博物館動物研究部:(現)京都大学霊長類研究所
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林田 明子
帯広畜産大学獣医解剖学分野:岐阜大学大学院連合獣医学研究科
-
林田 明子
The University Museum, The University of Tokyo
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