共有拡張空間を利用した共同作業に関する一考察

概要

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複数の作業者が仮想空間を共有して行う共同作業は, 実空間で行う共同作業に比べ, 1)各サイトをネットワークで接続することにより, 参加者間の距離の制約を解消できる, 2)実空間では変更が不可能な重力や摩擦といった物理パラメータを制御できる, 3)計算機環境ならではの様々な操作支援ができる, といった利点があり注目されている[1]. しかしながら, 共有仮想空間では一般に, コンピュータグラフィクス(CG)で視覚情報を生成・提示するため, 共同作業者の状況を的確に伝えることが難しいという問題がある. そこで本稿では, 透過型頭部搭載式ディスプレイなどを利用して実空間に仮想空間を重畳表示する拡張現実感(Augmented Reality)と呼ばれる技術を利用して, 共同作業者同士が仮想空間を共有しつつ互いを実際に観察できる作業環境を構築し, 相手の状況を観察できることが共同作業に与える影響について考察する. 以下では, 拡張現実感で生成される拡張空間の特長と, 複数の作業者による共同作業の観点からの拡張空間の通常の仮想空間に対する優位性について述べたのち, それを具体的に検証する実験について報告する.
1997-09-24