新しい「情報倫理」の目指すもの (<特集>人文科学とコンピュータ)
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概要
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インターネットの普及にともなって, 「情報倫理」は, ネットワーク利用の際のマナー・エチケット・法令・プライバシーの総称として扱われるようになった. 現在の情報倫理にまつわる議論は, このような規則をいかに解説・強制するかに終始し, 情報倫理は情報発信に対する自己規制の方法論になりつつある. これは, 日本語の「倫理」という言葉が倫理的原理と倫理的判断の両方の意味に使われ, その区別を失った議論が進んでしまったことにも, 一因がある. 「情報倫理」とは本来, 情報処理に携わる人間が備えていなければならない職業倫理の一種として論じられてきたが, インターネット社会において必要なのは, 情報発信者と情報受信者の双方の生産者倫理・消費者倫理である. 本論文では, 情報倫理が何故に倫理という言葉を使うのかについての解析を行い, 情報倫理を論じるに必須の項目がどのようなものであるかを列挙・分析し, これらを3つのカテゴリーに分類した. 第1は「倫理的原理と国際社会に生きる人間としての常識」であり, 第2は「情報処理の原理と, 国際規格・国内規格の仕組みと意義の理解」であり, 第3は「道徳・法律・ルール・マナー・エチケット・モラル・本来の意味での『倫理』」である. また, インターネット利用上問題になることの多い著作権やプライバシー保護のあり方に関連した議論も行った.
- 1999-03-15
著者
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