卵巣原発性EmbryonalCarcinoma(樋口,加藤)の臨床的背景とαFPを指標とした治療法改善の試み
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Embryonal Carcinoma(樋口、加藤)の症例41例について臨床面からの検討を加えた。進行期はI期21例、II期8例、III期11例、IV期1例であった。生存曲線をI期とII期で比較すると有意差傾向を認め、II期とIII期には有意差がなかった。しかしI期とIII期には有意差(p<0.001)を認めた。組織学的に狭義のEmbryonal Ca. と診断された10例と、YolkSac Ca. と診断された26例に分類して生存曲線の比較を行ったところ、両群間には有意差を認めなかった。更にA群に属する症例25例とB群に属する症例5例とC群に属する症例11例をEmbryonal Ca. 純粋型(A群)と未分化胚細胞腫および奇形腫との混合型(B群+C群)に分類して生存曲線の比較を行ったところ、混合型の生存率が有意に(p<0.05)良好であることが判明した。次に治療時期による生存曲線の差について検討を行った。著者達の症例41例は1971年から1979年に治療された症例は一定のプロトコールに従わない治療症例で18例がこの群に属していた。1979年以降、プロトコールに従って治療を行った症例は23例で、化学療法はVAC療法を行い、維持療法を2年間継続し、手術の際は大網切除術が大部分の症例に行われている。両群の間には生存曲線に有意差(p<0.001)があり、プロトコールに従った群の5年生存率は53%であった。組織学的にEmbryonal Ca. と診断された27例中26例はαFPが異常高値を手術前に示し、腫瘍の病勢を反映するマーカーとして有用であると思われた。生存例13例のαFPの推移と死亡例8例の推移を比較したところ、術前の高値が漸減する様は両群の間に差は少なく、死亡例では手術後15週頃から、αFP値の再上昇が急速に起り、再上昇後は治療に対する反応性が鈍く、死に至る経過が観察された。死亡例8例中、αFP値が死亡前正常域にあったことを確認したのは1例のみであった。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-06-01
著者
-
榊原 克巳
岡崎市民病院
-
友田 豊
名古屋大学産婦人科学教室
-
宮崎 俊英
名古屋第一赤十字病院
-
中島 伸夫
名古屋大学第1外科
-
小林 巖
名古屋第二赤十字病院
-
堀 正男
東海卵巣腫瘍研究会
-
中島 伸夫
名古屋大学 中検病理
-
中島 伸夫
名古屋大学医学部検査医学講座
-
榊原 克己
東海卵巣腫瘍研究会
-
吉尾 豪
春日井市民病院
-
西田 裕一
碧南市民病院
-
有井 吉太郎
名古屋大学医学部産科婦人科学教室
-
堀 正男
名古屋大学医学部産科婦人科学教室
-
太田 正博
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
加納 武夫
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
西田 裕一
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
宮崎 俊英
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
風戸 貞之
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
飯田 誠造
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
梅村 鋸三
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
千原 勤徳
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
橋弥 三郎
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
岡本 美枝
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
林 治生
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
今井 信昭
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
小林 巌
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
佐伯 明彦
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
吉尾 豪
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
菅 整一
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
有井 吉太郎
豊橋市民病院
-
有井 吉太郎
名古屋大学 産婦人科
-
林 治生
中部労災病院産婦人科
-
太田 正博
東海卵巣腫瘍研究会
-
今井 信昭
半田市立半田病院
-
有井吉 太郎
東海卵巣腫瘍研究会
-
風戸 貞之助
名古屋第一赤十字病院
-
太田 正博
名古屋大医
-
飯田 誠造
多治見県立病院産婦人科
-
徳橋 弥三郎
安城更生病院産婦人科
-
加納 武夫
知泉会加納病院
-
風戸 貞之
名古屋第一赤十字病院産婦人科
-
菅 整一
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
友田 豊
名古屋大学医学部産婦人科
-
榊原 克巳
東海卵巣腫瘍研究会
-
宮崎 俊英
名古屋第一日赤病院
関連論文
- P-54 卵巣外原発腹膜癌3症例の治療と予後
- 妊娠中毒症の発症と胎盤ミトコンドリア遺伝子(妊娠中毒症の発症メカニズムとその予知)
- Catheter-tip transducerを使った卵膜外子宮内圧測定法
- 562 樹立絨毛癌株におけるEGFオートクリン機構とその意義
- 201 胎盤におけるAngiotensin変換酵素の発現とその生理的意義
- 448 妊娠27週未満の腟内胎胞脱出に対する膀胱充満減圧頸管縫縮術による周産期管理の経験
- 447 温生食充填灌流療法による妊娠27週未満のPreterm PROM積極的管理の試み
- 21施設による進行卵巣癌の治療成績 : とくに治療法の相違による生存率の差異を中心に
- 妊娠中毒症における膣真菌の研究
- 卵巣癌に対するSecond look operation(SL0)の評価 : 287例を対象として
- 絨毛癌, 侵入奇胎の治療経過における超音波診断法の評価
- 52 臨床的絨毛癌・侵入胞状奇胎の治療経過における超音波診断法の評価
- 絨毛癌脳転移に対する手術療法の評価
- 368. 数量化理論を用いた悪性卵巣腫瘍予後判定スコアー作成の試み
- 卵巣原発性EmbryonalCarcinoma(樋口,加藤)の臨床的背景とαFPを指標とした治療法改善の試み
- 343 カルモフールの婦人科悪性腫瘍における組織内DNA合成阻害率に関する検討
- 多施設協同研究による化学免疫療法の効果 : 卵巣癌の治療 : その基礎と臨床
- 東海地方における充実性卵巣腫瘍の検討
- 488 抗胎盤性アルカリホスファターゼモノクロナル抗体(IgG)の作成およびラジオイムノアッセイによる抗体の親和性, 特異性の検討
- 429 hCGレセプター結合物の解離方法を利用した胎盤絨毛hCGレセプターの研究
- 5)胞状奇胎の管理 (1.クリニカルカンファランス : 症例から学ぶ)
- 絨毛を中心とする母体,胎児間免疫現象に関する研究 (母体・胎児間の免疫現象に関する研究)
- 自然閉経後女性に対する経口エストリオール連日投与の有効性および安全性に関する多施設共同研究 : 第2報 : 副作用および子宮内膜における安全性に関する検討
- 自然閉経後女性に対する経口エストリオール連日投与の有効性および安全性に関する多施設共同研究 : 第1報 : 更年期障害症状および血清脂質に対する有効性の検討
- 就労と就労内容は低出生体重児分娩と関連するか
- わが国における卵巣悪性腫瘍の記述疫学特性
- Interferon-α 含有腟坐剤の安定性
- インターフェロンα含有膣坐剤の試製
- 39. 妊娠に伴う子宮筋収縮の変化 : ラット子宮ONa拘縮よりの検討
- Aztreonam妊婦投与における臍帯組織内移行に関する検討
- 子宮内胎児発育遅延児の出生早期脳波所見について
- 283 シスプラチン耐性卵巣癌細胞株における耐性機構の検討とその克服
- 313 シスプラチン耐性卵巣癌細胞株に対する抗癌剤の有効性の検討 : 単剤及び併用療法について
- 保存的薬物治療に成功した頚管妊娠の一例
- 非観血的治療を試みた胎芽心拍陽性の未破裂子宮外妊娠の一例
- 108 Herlyn-Werner症候群1例と, 腎尿管無形成を伴う子宮腟奇形2例
- 492 MTX, Etoposide, 胎芽穿刺等を用いた子宮外妊娠の保存的治療法
- 先天性乳糜性腹水症の1例
- 出生前診断した胎児心臓腫瘍の1例
- Postpartum Hemolytic Uremic Syndromeの2例
- 181. 都市部一周産期センターにおける周産期死亡及び神経学的後障害の検討
- 卵巣類肝細胞癌の1例
- 本邦性成熟婦人の多毛症に関する臨床統計的研究 : 多毛症と月経異常との関連について
- 118 ヒト黄体化ホルモン(LH)β鎖構造異常(Trp^8→Arg、Ile^→Thr)のLH生物活性に対する影響
- 123 卵巣癌薬剤耐性株の樹立と, その耐性機構の解析
- 8 ムチン性卵巣腫瘍に主として反応する3種のモノクローナル抗体の作製と免疫組織学的検索
- 悪性卵巣腫瘍に対する非特異的免疫賦活剤 OK-432使用による免疫療法の効果 : 有効症例選別の試み
- 28 患側卵巣摘除後に残置された健側卵巣機能の分析 : 主に下垂体, 卵巣ホルモン測定による機能の把握
- In Vitro Colony Assayによる婦人科悪性腫瘍に対する制癌剤感受性試験の基礎と臨床応用について
- 376. Stem Cell Assay法による婦人科腫瘍の制癌剤感受性試験と臨床応用への検討 : 第64群 悪性腫瘍 VII
- 28.薬剤効果判定を目的とした原発性卵巣癌の分類 : 第5群 卵巣腫瘍・絨毛性腫瘍 I (26〜32)
- 197.胎児性癌22例の統計学的考察 : 第39群 卵巣の腫瘍 III(193〜197)
- 過酸化脂質代謝物質による妊娠中毒症胎盤の障害(一般演題:ポスター)
- 正常および妊娠中毒症胎盤における肝細胞増殖因子の発現(妊娠中毒症と胎盤)
- 125 β_2-stimulantの臍帯動脈血流, 母体子宮動脈血流に及ぼす影響
- 426 ヒト胎盤のLow Density Lipoprotein(LDL)の取り込みと代謝に対するβ_2-stimulant, 8-Bromo-cAMPの役割
- 58 Brandykininに対する妊娠時の血管感受性の変化の検討
- 324. β_2-stimulant, dipyridamole, cAMP, OKY-046の人胎盤に於けるprostacycline (PGI_2), thromboxane A_2 (TX A_2) 産生に及ぼす影響について
- 323. 人胎盤のProgesterone産生調節機構におけるC kinase系の役割についての検討
- 134 免疫学的異常を呈した黄体化ホルモン(LH)のβ鎖遺伝子の構造解析
- 高プロラクチン血症における内分泌動態とその治療に関する臨床的研究
- 卵巣癌の予後と化学療法の効果 : 多施設による共同研究
- 本邦における卵巣癌の予後因子に関する検討 : 多施設による共同研究
- 外因性卵巣ステロイドホルモンによりコントロールされた子宮内膜への凍結受精卵融解移植の妊娠例
- HPLCと固定化酸素カラムによる血中Δ^5-3β OH steroids sulfates測定法
- P3-70 卵巣の悪性ブレンナー腫瘍と小細胞癌,および肺小細胞癌の症例(Group85 卵巣腫瘍11,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 蛍光抗体法による胎児血色素の検出
- 絨毛癌の予後因子の分析
- 周産期における母体および新生児尿中胎便様物質に関する研究
- 自然破裂した類皮嚢胞癌の1治験例と類似した12症例の検討
- 樹立絨毛癌細胞株3種(NaUCC-1,2,3)の薬剤感受性に関する研究
- 絨毛癌と侵入奇胎の臨床的診断に関する「絨毛癌診断スコア」の検討
- 絨毛性疾患患者の免疫能に関する研究
- 55. 蛍光抗体法による結核動物組織内抗体の証明 : II.ツベルクリン蛋白注射後の所属リンパ節内抗原及び抗体の証明(第14回日本アレルギー学会総会)
- 尿中hCGβ-core測定用試薬 (UGF-EIA東亜キット) の開発とその基礎的, 臨床的検討
- 24. 悪性卵巣腫瘍患者に対する妊孕性温存の可能性に関する検討 : 第4群 卵巣腫瘍 I (20〜25)
- Radioimmunoassayによる尿中LHの測定
- 絨毛性腫瘍に於ける低単位HCGの測定
- 胎児管理法としての血中エストリオール抱合形測定の意義
- 子宮内膜癌のホルモン依存性に関する研究
- 絨毛性腫瘍に於ける血清 α-fetoprotein 測定の意義
- P-77 精巣上体より採取した精子を用いた顕微授精法の検討
- 65 ヒト胎盤Aminopeptitase Aの精製とその性質
- 抗hCGおよび抗胎盤性アルカリホスファターゼ抗体に結合させたメソトレキセートの絨毛癌培養細胞に対する特異的効果
- 353. ヒト胎盤Carboxypeptidase N (Kininase I) の精製とその性質
- 不妊症治療の倫理的問題点(今月の研修テーマ)
- 視床下部体温調節ニューロンにおよぼす Luteinizing Hormone Releasing Hormone (LHRH), Thyrotropin Releasing Hormone (TRH), Estrogen, Clomiphene の影響
- 視床下部におけるエストロゲンフィードバック機構の解明 : 多連微小電気泳動法によるエストロゲン感受性神経細胞の同定およびカテコールアミン類による修飾
- 絨毛性疾患の臨床から学ぶ
- 妊娠診断の進歩 (今月の研修テーマ)
- ビタミンEの血液凝固におよぼす影響 : (II)動物実験
- ビタミンEの血液凝固におよぼす影響 : (I)試験管内実験
- K-26 術中腫瘍被膜破綻は1期卵巣癌においてどの程度の予後不良因子となるか? : 大規模組織型別解析における全生存率/無病生存率の結果から(高得点演題6 腫瘍,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-26-9 成熟嚢胞奇形腫の悪性転化50症例の臨床的検討(Group128 婦人科悪性腫瘍・症例2,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- K-27 難治性組織型を有する再発卵巣癌の長期治療成績は向上しているのか? : 大規模ヒストリカル解析の結果から(高得点演題6 腫瘍,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-9-21 非産褥性子宮内反症の1例(Group11 感染症・その他・症例,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P-LAP による妊娠中毒症の予知
- P3-11-4 抗NMDA受容体脳炎を伴った卵巣未熟奇形腫の1例(Group 116 卵巣腫瘍・診断・治療(症例)1,一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第65回学術講演会)
- P1-38-9 妊娠管理に難渋した子宮内膜症性嚢胞破裂2症例(Group 38 合併症妊娠(症例)1,一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第65回学術講演会)
- P2-33-4 子宮留膿腫破裂により汎発性腹膜炎を呈した2症例(Group 71 感染症,一般演題,第66回学術講演会)