卵巣癌の予後と化学療法の効果 : 多施設による共同研究
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概要
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全国22施設の協力により, 1980年1月から1987年12月までの間に治療を受けた卵巣癌1,185症例を対象としてその予後を化学療法の効果の面より検討してみた. まず寛解導入化学療法の効果に関して, (1) CDDPならびにそれを主とした多剤併用例に有効性が認められ, 特に臨床期III, IV期あるいは初回手術時の残存腫瘍径が2cmを超える進行例において有意の効果が認められた. しかしsecond line化学療法および再発例に対する化学療法の効果は満足できるものではなかつた. (2) 組織型別の効果をIII期症例について検討した結果, 類内膜, 漿液性, 粘液性腺癌に有意の効果を認めたが, 明細胞癌では有効性を認めなかつた. (3) 寛解導入療法の直接効果は必ずしも長期の予後に繋がるものではなく, 再発防止を目的とした "補助・強化療法"が必要と考えられた. 次に長期予後改善を目的とした化学療法の効果を, Ic期以上の症例で寛解導入療法後のsecond look operationにより残存腫瘍なしと判定された症例を対象として検討したが, (1) 弗化ピリミジンの長期経口投与による維持化学療法施行患者の長期予後は対照群と比べて有意の改善を認めず, (2) CDDPを主剤として行つた間歇的化学療法群に有意の改善を認めた. (3) しかし現行の免疫療法は, 患者の予後改善に効果を示さなかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-09-01
著者
-
野田 起一郎
近畿大学医学部産科婦人科学教室
-
寺島 芳輝
東京慈恵会医科大学産婦人科
-
落合 和徳
慈恵医大
-
落合 和徳
東京慈恵会医科大学 医学部産婦人科
-
梅咲 直彦
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
須川 佶
大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
-
薬師寺 道明
久留米大学産婦人科
-
矢嶋 聰
東北大学医学部産婦人科
-
友田 豊
名古屋大学産婦人科学教室
-
寺島 芳輝
エポジン自己血輸血研究会 : 東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
-
落合 和徳
東京慈恵会医科大学 ソーシャルワーカー室
-
矢嶋 聰
東北大学産婦人科
-
梅咲 直彦
和泉市立病院
-
西村 治夫
久留米大学医学部産婦人科学教室
-
佐藤 信二
東北大学医学部産婦人科学教室
-
薬師寺 道明
久留米大学
-
野田 起一郎
近畿大学医学部産婦人科
-
西村 治夫
久留米大学
-
加納 武夫
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
須川 佶
大阪市立大学
-
加納 武夫
知泉会加納病院
-
寺島 芳輝
東京慈恵会医大
-
友田 豊
名古屋大学医学部産婦人科
-
梅咲 直彦
大阪市立大学
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