樹立絨毛癌細胞株3種(NaUCC-1,2,3)の薬剤感受性に関する研究
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概要
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当教室で樹立した絨毛癌細胞株(NaUCC-1、2、3)3種類とBeWoにおいてAct-MTXに対する薬剤感受性および^3H-Act-D、^3H-MTXを用いた細胞内取り込み実験を行い、それぞれの成績と臨床経過とを比較した。(1)薬剤感受性は、単独投与ではNaUCC-1がAct-D高感受性(p<0.05)、MTX低感受性(p<0.05)を示し、BeWoがAct-D低感受性(p<0.05)を示した。二剤投与ではNaUCC-1、3、BeWoにAct-D単独投与時に比して同程度もしくはそれ以上の細胞増殖抑制効果がみられたが、NaUCC-2では逆に細胞増殖抑制効果が阻害された(p<0.05)。(2)^3H-Act-Dの細胞内取り込みはAct-D高感受性のNaUCC-1で多く(p<0.01)、 低感受性のBeWoで少なかった(p<0.05)。^3H-MTXの細胞内取り込みはMTX低感受性のNaUCC-1で少なかったが(p<0.05)。MTX存在下での^3H-Act-D取り込みは、二剤投与時細胞増殖抑制障害のみられたNaUCC-2で単独時より増加し(p<0.005)、 Act-D存在下での^3H-MTX取り込みはMTX低感受性のNaUCC-1で単独時より減少した(p<0.05)。(3)治療途中で薬剤に反応しなくなった患者由来のNaUCC-1はMTXに対して特に低感受性であり、治療中MTXがAct-D効果を阻害しているとの印象が持たれた患者由来のNaUCC-2は二剤投与により細胞増殖抑制効果が阻害されるという結果が得られた。以上より、今回樹立細胞株の薬剤感受性と臨床経過は相関していたと思われる。今後、細胞レベルでの特性の研究は、より効果的な治療の選択に重要な役割を果たすと考えられる。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-01-01
著者
-
後藤 節子
名古屋大学医学部保健学科
-
友田 豊
名古屋大学産婦人科学教室
-
後藤 節子
婦人科腫瘍委員会
-
陳 帆
名古屋大
-
陳 帆
名古屋大学産婦人科
-
後藤 節子
名古屋大学 医学部産婦人科
-
岡山 嘉英
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
上田 塩見
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
友田 豊
名古屋大学医学部産婦人科
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