In Vitro Colony Assayによる婦人科悪性腫瘍に対する制癌剤感受性試験の基礎と臨床応用について
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概要
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悪性卵巣腫瘍を中心に婦人科腫瘍57検体についてSalmon et al.によるIn Vitro Colony Assayを施行し,以下の成績を得た. 1)腫瘍別の培養成功率(対照群のコロニー数が30個以上)は,悪性卵巣腫瘍65%(26/40),子宮体癌33.3%(3/9),絨毛癌100%(4/4),その他25%(1/4)であつた.また全検体の成功率は59.6%(34/57)であつた. 2)悪性卵巣腫瘍において10種類の制癌剤に対するI.V.C.A.の制癌剤感受性(50%以上のコロニー抑制で判定)を検討した結果,Cis-platinum(CDDP),Adriamycin(ADR),5-FUおよびBleomycin(BLM)で感受性例が高率であつた. 3)ヌードマウス移植婦人科腫瘍5株を用いてI.V.C.A.とヌードマウス実験を行い,延べ24薬剤の感受性を測定し両者の相関性を検討した結果,true positive rate75%およびtrue negative rate87.5%であつた. 4)I.V.C.A.と臨床効果との相関性はtrue positive rate71.4%(5/7),true negative rate75%(6/8)であつた. 5)I.V.C.A.における適正薬剤濃度および接触時間を検討するため,臨床投与時のCDDP(15mg/body),ADR(30mg/body),BLM(30mg/body)の最高血中濃度と卵巣腫瘍内濃度を測定した結果,CDDPは0.68μg/ml,0.48μg/g,ADRは1.50μg/ml,l.05μg/g,BLMは4.00μg/ml,1.45μg/gであり,各薬剤が腫瘍組織内への高い移行性を示した.これは従来I.V.C.A.で使用されている濃度に比べ2.4〜10倍に相当する値であつた. 6)濃度依存性薬剤であるADRと時間依存性薬剤である5-FU,BLMおよびVP-16について,1時間接触と持続的接触におけるコロニー形成抑制率を検討した結果,時間依存性薬剤では持続的接触を行うことで,より正確な感受性が得られることが証明された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-12-01
著者
-
榊原 克巳
岡崎市民病院
-
友田 豊
名古屋大学産婦人科学教室
-
榊原 克己
東海卵巣腫瘍研究会
-
西田 裕一
碧南市民病院
-
太田 正博
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
加納 武夫
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
西田 裕一
名古屋大学医学部産科婦人科学教室東海卵巣腫瘍研究会
-
太田 正博
東海卵巣腫瘍研究会
-
榊原 克巳
名古屋大学医学部産科婦人科学教室
-
太田 正博
名古屋大医
-
加納 武夫
知泉会加納病院
-
友田 豊
名古屋大学医学部産婦人科
-
榊原 克巳
東海卵巣腫瘍研究会
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