子宮内膜癌のホルモン依存性に関する研究

概要

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子宮内膜癌に対する内分泌環境の果す役割を解明することを目的としてエストロゲンおよびプロゲステロン結合蛋白の測定を中心とした組織のホルモン感受性に対して検討を加えた. 1) 内膜癌組織をBrodersの分類に準じて分化度別分類を行いエストロゲン結合蛋白と組織分化度との関連を見たところ成熟傾向の群では高値を示すものが多かつた.逆に未熟傾向の群では低値を示すものが多かつた.しかし,病変組織の値が低い症例でも肉眼的に健常と思われる筋層のエストロゲン結合蛋白数は子宮癌以外の疾患で摘出した子宮筋層の結合蛋白数の平均値より高値を示した. 2) 内膜癌組織のプロゲステロンおよびエストロゲン結合蛋白を測定して両者の相関関係を検討した.結合蛋白数と患者の年令および組織学的特徴には密接なる関係は認めなかつたがエストロゲンおよびプロゲステロン結合蛋白の相関係数は0.92と極めて良い相関のあることがわかつた.また両者の値よりエストロゲンの方が組織に対する特異性が高いことが推測された. 3) 内膜癌患者に大量のゲスターゲンスを投与して投与前,中,後の採取組織のエストロゲンおよびプロゲステロン結合蛋白数の推移を検討した.その結果プロゲステロン結合蛋白数はゲスターゲンス投与開始とともに測定不能となるか極めて低値を示した.一方エストロゲン結合蛋白数は投与開始後4日目頃に一過性の上昇を認め,以後著減した. 4) ゲスターゲンス投与前後の組織を採取し組織学的な検討を加えた.認められた変化は必ずしもゲスターゲンスに特有な変化ではなかつたが大部分の症例に程度の差こそあれ,なんらかの変化を認めた. 以上ステロイド結合蛋白数,組織等の変化から病変組織はステロイドに対する感受性を保持していることが推測された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-05-01

子宮内膜癌のホルモン依存性に関する研究

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