絨毛性疾患患者の免疫能に関する研究
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概要
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毛性疾患愚老の治療経過に伴なう免疫能を検索するため,(1)一般細胞性免疫能の検討のための微量全血培養法,(2)愚老血清のPHAリンパ球幼若化反応に対する影響の測定を施行した.(1)正常婦人(20歳代〜40歳代)および正常妊婦.(1)正常婦人の一般細胞性免疫能に有意た差はなかった.妊娠全期間を通じて一般細胞性免疫能は有意に低下した.(2)加齢とともに,また,妊娠週数の増加とともに有意な血清の抑制作用の増強がみられた.(2)胞状奇胎.(1)奇胎娩出後8週〜16週の時点では正常婦人と比較して一般細胞性免疫能の光進がみられた.(2)奇胎娩出後1週〜2週,8週〜16週とも娩出前と比較して血清の抑制作用の有意な増強がみられた.(3)侵入奇胎.(1)治療経過に伴なう一般細胞性免疫能の著明な変動はみられなかった.(2)治療経過中の血清の抑制作用は徐カに増強したが,治療開始後60日頃より徐々に減弱した.(3)絨毛癌.(1)治療前の一般細胞性免疫能は対照と比較して有意な光進を示したが,その他の時点での著明な変動はなく,治療中の一般細胞性免疫能は低下していなかった.しかし,治療前と比較して治療開始後60日および90日の時点では,有意差をもって一般細胞性免疫能は低下した.(2)血清の抑制作用は治療開始後120日頃に最強となり,侵入奇胎の抑制と比較して60日遅れて出現し,抑制はより強力であった.しかし,死亡例においても寛解例と比較Lて血清の抑制作用は著しく増強しているとは言えなかった.以上より,絨毛癌愚老においては,一般免疫能は他癌患者ほど低下しておらず,一般細胞性免疫能の賦活療法の施行のみを考えるのではたく,特異的免疫能の検索を含めた特異的免疫療法に今後の研究の課題があると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-02-01
著者
-
後藤 節子
名古屋大学医学部保健学科
-
友田 豊
名古屋大学産婦人科学教室
-
可世木 成明
可世木病院
-
後藤 節子
婦人科腫瘍委員会
-
真野 紀雄
葉酸普及研究会
-
可世木 成明
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
可世木 成明
名古屋大学 医学部産科婦人科学教室
-
後藤 節子
名古屋大学 医学部産婦人科
-
真野 紀雄
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
友田 豊
名古屋大学医学部産婦人科
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