妊娠8ヵ月(28〜32週)の心身疲労状態に関する研究

概要

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目的:身体負荷が最大となる妊娠8ヵ月の母体の心身疲労状態を調べ,この時期の妊婦支援のあり方を模索する。方法:妊婦19名を対象に妊娠20〜26週,妊娠28〜32週(妊娠8ヵ月),妊娠36〜39週に,状態および特性不安検査(State-Trait Anxiety Inventory : STAI),蓄積疲労徴候インデックス(Cumulative Fatigue Symptoms Index : CFSI)により心身疲労状態を追跡調査した。また,自己作成した情報収集シートにより,主観的疲労感と睡眠状態も検討した。結果 : STAI得点では,妊娠8ヵ月における状態不安得点が日本人女性の平均得点よりも高く(t=2.66, P<0.01),特性不安得点も高かった(t=2.39, P<0.05)。CFSIでは妊娠8ヵ月の総訴え数が有意に多く(P<0.01),なかでも「気力の減退」(P<0.01),「慢性疲労」(P<0.05)の疲労パターン訴え数が多く,妊娠36〜39週に有意に減少した。自己作成した情報収集シートによる主観的疲労感では妊娠8ヵ月に疲れやすく(P<0.05),この時期の睡眠状態として熟睡感が得られにくい(P<0.05)ことが判明した。結論:妊娠期は不安状態が強く,妊娠8ヵ月では「気力の減退」「慢性疲労」などの心身疲労症状が増強し,熟睡感が得られていない。妊娠8ヵ月の妊婦には,心身疲労状態に対するさらなる支援が必要である。