絨毛癌の予後因子の分析

概要

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絨毛癌の予後を決定する因子を明らかにすることは本症の予後改善のため重要な意義を有する.名古屋大学医学部付属病院産婦人科において治療した絨毛癌155例を対象として,入院当初に判定し得る条件を選んで予後どの関連を検索し,更に電子計算機による多変量解析(林の数量化理論第III類)を行なって予後の判別を試みた.その結果選択された12項目の条件により生存・死亡の2群に判別する場合の相関比は0.5267を示し臨床上の応用が可能と考えられた.項目のうちでは肺転移病巣の拡がり,最大径,治療法の進歩に伴たう時代的区分,子宮原発巣の組織分類,肺以外の遠隔転移の有無,骨盤内病巣の有無等が高い偏相関係数を示した.以上の判別分析の結果,各項目に与えられた因子得点を基に臨床応用のための予後判別スコアを作成した.個人得点の合計により,I)3点以上-"Good prognosis",II)2点から-2点-"Intermediate",III)-3点以下"Poor prognosis"の3群に区分したところ,各群における死亡率は,I)7/73 (9.6%),II)12/26 (46.2%),III)49/56 (87.5%)となり3群間には有意差(p<0.01)が認められた.項目の選択,採点法等に配慮したので臨床上の応用に適していると考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1979-12-01