本邦性成熟婦人の多毛症に関する臨床統計的研究 : 多毛症と月経異常との関連について
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概要
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ボランティア369名および名古屋大学医学部附属病院分院産婦人科受診者308名を対象とし, 本邦婦人における多毛の程度を調査した. 多毛の程度は Ferriman and Gallwayにより考案された評価法に準じたスコアで評点し, 多毛症の診断基準, 多毛と月経異常などにつき検討を加え, 以下の結論を得た. 1. ボランティア369名を対象とする多毛の調査では, 多毛スコア 0〜4点, 290例, 5〜9点, 51例と9点までに全体の92.4%が占めた. 2. 多毛スコアとは別に, ホルモン感受性がとりわけ高いと考えられている九つの部位における多毛の評点, すなわちホルモナルスコアにおいても同様の傾向を示し 0〜2点が286例, 3〜5点が50例であり, 91%が5点以下であつた. 3. 部位別では乳輪部と四肢に終毛発生が多く認められたが, 全体に欧米婦人に比し低く, 本邦婦人における多毛症の診断基準は多毛スコア9点以上, ホルモナルスコア6点以上が適当と考えられた. 4. 月経異常と多毛の関係では, 月経異常を示す婦人では正常月経婦人に比して多毛の程度が強く, アンドロゲンの過剰分泌, 月経異常との強い関連性が示唆された. 5. 月経異常群を黄体機能不全群, 頻発月経群, 稀発月経群, 無排卵性月経群, 無月経群に分類し多毛の程度を検討すると, 頻発月経群を除くすべての月経異常群において, 正常月経群に比較し多毛スコアの高値を認めた. 以上の結果より, 多毛程度と月経異常の間には相関関係が存在すると考えられ, 多毛スコアを系統的に評価することにより, 月経異常, ホルモンアンバランスによる種々な婦人科疾患の診断および治療の有効な手段となりうることが明らかになつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-11-01
著者
-
大沢 政巳
成田病院
-
成田 收
成田病院
-
友田 豊
名古屋大学産婦人科学教室
-
成田 収
葉酸普及研究会
-
正橋 鉄夫
名古屋大
-
大沢 政巳
名古屋大学 医学部産婦人科
-
正橋 鉄夫
名古屋大学 産婦人科
-
正橋 鉄夫
名古屋大学医学部附属病院分院 産婦人科
-
浅井 光興
名古屋大学 産婦人科
-
市川 弥生
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
呉 明超
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
成田 收
名古屋大学医学部産婦人科学教室
-
友田 豊
名古屋大学医学部産婦人科
-
浅井 光興
名古屋大学医学部附属病院分院産婦人科
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