視床下部体温調節ニューロンにおよぼす Luteinizing Hormone Releasing Hormone (LHRH), Thyrotropin Releasing Hormone (TRH), Estrogen, Clomiphene の影響

概要

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微小電気泳動法により,103匹の去勢した成熟雌ラットを使用して,視床下部温度感受性ニューロンと, LHRH, TRH, estrogen, clomiphene 感受性ニューロンとの相互関係を検討した.1. 348個の視床下部ニューロンのうち,LHRHに24個,TRHに20個,estrogenに41個,clomiphene に18個が感受性を示した.2. 66個の視床下部内側視索前野のニューロンのうち,温ニューロンは19個(28.8%)冷ニューロンは11個 (16.7%) であり,温度特性のないニューロンは36個 (54.5%) であった.3. 温ニューロン19個のうち estrogen には4個が興奮的に反応し, LHRH では4個が抑制的に反応した.4. 冷ニューロン11個のうち estrogen に4個,LHRHに3個, TRH に3個が興奮反応を示した.以上より LHRH は温ニューロンに抑制的に働き冷ニューロンに興奮的に働くことより, 温度上昇作用を有すると考えられた. また estrogen は,温ニューロンを興奮させることより, 放熱促進作用があると考えられ, 卵巣欠落症状としてみられる顔面紅潮の誘因として LHRH が考えられ, 治療としての estrogen 剤投与が有効であると考えられることを示した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-04-01