自転車エルゴメータによる運動負荷の母児におよぼす影響について
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概要
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運動負荷の母児におよぼす影響について検討するため, 自転車エルゴメータによる運動負荷を行い, 母体心拍数, 血圧, 酸素消費量, 胎児心拍数の変化を記録した. 妊娠16週から39週の正常妊婦48例を対象に, 最高心拍数(220-年齢)の85%以上を目標に運動負荷を行った. 母体心拍数, 血圧は運動とともに上昇し, 最大運動負荷時にはそれぞれ, 166.1±12.2/分(mean±S.D., n=48), 161.1±20.1/82.7±15.2mmHgとなった. 運動終了後約5分でほぼ前値に復していた. 妊娠週数と母体心拍数や血圧の変化の間には相関を認めなかった. 酸素消費量は安静時の0.232±0.0371/minから運動負荷に伴って上昇し最大運動負荷時には1.271±0.2011/minとなった. 妊娠週数が進むにつれ増加する傾向が安静時, 運動負荷時ともに認められたが, 体重1kg当りの酸素消費量について検討するとほぼ一定となっており, また母体体重と酸素消費量の間には安静時, 最大運動負荷時ともに正の有意な相関(p<0.001)を認め, 体重増加がその原因であると思われた. 母体運動負荷により胎児心拍数基線は, 妊娠中期では約4bpm, 後期で約9bpm増加した. 胎児異常心拍パターンは8例(16.7%)に認められ, 軽度頻脈が6例, 一過性徐脈が2例であった. 最大運動負荷時の母体心拍数と胎児異常心拍パターン出現率について検討したところ, 母体心拍数160未満では0/11(0%), 160〜169では2/15(13%), 170以上では6/22(27%)となっており, 母体心拍数が多くなるほど, 異常出現率は高くなっていた. 以上の結果より, 妊婦に運動負荷をする時には十分な母児管理が必要であることが示された. また運動負荷量の目安として母体心拍数を用いた場合, 今回の検討では160/分未満なら胎児異常心拍パターンは出現しないことが示された.
- 1990-03-01
著者
-
野口 昌良
愛知医科大学産婦人科
-
中西 正美
愛知医科大学産婦人科
-
中西 正美
愛知医科大学医学部産婦人科学教室
-
野口 昌良
愛知医科大学
-
浅井 光興
愛知医科大学医学部産婦人科
-
正橋 鉄夫
名古屋大
-
丹羽 滋郎
愛知医科大学
-
正橋 鉄夫
愛知医科大学附属病院産婦人科講座
-
正橋 鉄夫
名古屋大学医学部附属病院分院 産婦人科
-
鈴木 正利
葉酸血清濃度研究班
-
山田 晃夫
愛知医科大学運動療育センター
-
鈴木 正利
愛知医科大学産婦人科
-
浅井 光興
愛知医科大学 産婦人科
-
正橋 鉄夫
愛知医科大学産婦人科
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