ヒト子宮内膜癌発生過程に於けるアイソザイムパターンの偏倚
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概要
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子宮内膜の前癌挿変であるHyperplasiaと内膜癌との生化学的差異を検索する目的でHexokinase(HK),Lactatedehydrogenase(LDH),Glucose-6-Phosphatedehydrogenase(G6PDH)及びphosphoglucomutase(PGM)活性並びにアイソザイムパターンの分析を行い,更にプロゲステロン投与前後の両組織の反応性の相違を検討し次の結果を得た.1)LDH活性は,分泌期内膜,Hyperplasia及び内膜癌で増殖期内膜に比し有意に高く,そのアイソザイムバターンは,Hyperplasia及び内膜癌両組織でM型LDHへの偏倚が認められた.2)HK活性は,Hyperplasia及び内膜癌で,分泌期内膜増殖期内膜に比し有意に高く,そのアイソザイムパターンはHyperplasiaでは正常子宮内膜よりII型HKが強くなり,癌化するとII型HKが更に著明とたり,分化型腺癌ではII型HKの出現しているものも認められた.3) G6PDH活性は増殖期,分泌期内膜及び内膜癌ともに同様の活性値を示したが,Hyperplasiaで約2倍の活性値を有していた.又子宮頚部腺癌及び扁平上皮癌では約4倍〜7倍ときわめて高い活性値を示した.4) PGM活性は増殖期内膜で最も低く,分泌期内膜で約2倍,Hyperplasia及び内膜癌で約3倍の活性値を示した.5) HK/G6PDH比は正常子宮内膜及びHyperplasiaでは2.0以下であり,内膜癌では2.0以上と高く,この比の測定が内膜癌の診断に有用であると思われた.6) プロゲステロンを投与するとHyperplasiaではM型LDH活性が減少し,正常子宮内膜のLDHアイソザイムパターンに復したが,内膜癌に於いてはこの様な変動は観察されなかった.7) 以上の様に,子宮内膜癌はHyperplasiaと活性及びアイソザイムパターンの上で類似性が認められたが,プロゲステロンに対する反応性に相違が認められた.
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 1979-03-01
著者
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