ナナホシテントウの卵巣発育に関する研究 : 卵巣発育に及ぼす環境要因の影響
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概要
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ナナホシテントウの生殖休眠の実体を明らかにするため,卵巣発育における温度と日長の影響及び産卵と卵退化に伴う黄体形成過程について検討した。ふ化後25℃・長日(16L:8D)で飼育した雌の卵巣発育は継続的に抑制されるのに対し,25℃・短日(10L:14D)では羽化後3ヶ月頃より卵巣は発育し,卵巣小管には黄体が観察された。また野外で採集した前蛹を25℃で飼育したところ,両日長区とも羽化後卵巣は発達した後,次第に退化し,短日区では羽化後3ヶ月頃より卵巣発育が再開した。このことから高温,長日が生殖休眠の誘起条件として働き,また卵巣発育は幼虫期における栄養蓄積と密接に関係することが示唆された。一方18℃での飼育では短日区の卵巣発育は抑制されていたが,長日区の蛹飼育個体で卵巣発育はかなり進行したことから,25℃と18℃との間で卵巣発育に対する日長効果の違いが暗示された。次に卵巣小管における黄体形成過程を組織学的に検討した結果,産卵に伴い形成される黄体は濾胞細胞が集積したものであり,黄褐色のカロチノイド由来の粒状体を含有していた。一方卵退化に伴い形成される黄体は卵細胞の崩壊残物が集積した卵吸収体であり,黄褐色粒を含有しなかった。このことから黄体を指標として野外個体の生殖状況の解析が可能と考えられた。
- 岐阜大学の論文
- 1990-12-25
著者
-
桜井 宏紀
岐阜大学農学部生物生産システム学科
-
桜井 宏紀
岐阜大・農
-
武田 享
岐阜大学農学部生物生産システム学科
-
武田 享
岐阜大学大学院連合農学研究科生物環境科学
-
武田 享
岐阜大学農学部
-
桜井 宏紀
岐阜大学農学部昆虫学教室
-
中西 秀明
愛媛県病害虫防除所
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