<原著>至適な運動負荷を知るための生活形態と体力に関する比較研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
健康の維持増進のためには,適度の運動が必要であるといわれる。しかし,適度の運動(至適運動負荷)とは,どの程度の量や質であるのかは,ほとんど明らかにされていない。これまで著者たちは,ヒトのからだが採集狩猟民としての生活に適応するように進化してきたことに注目し,進化論的比較論的立場から,至適負荷の解明を試みてきた。そして,Sedentaryな生活を営む人々にとっても,最大酸素摂取量を40〜50ml/kg/min(成人男子の場合)に保持することが可能な,長時間にわたるModerateな運動,すなわち,歩行のような運動を行うことが,望ましいであろうと考えるに至った。本研究は,この仮説をさらに確かめるために,異なる生活形態をもつ12集団の,食事,日常生活中の身体活動,%Fat,最大酸素摂取量を比較したものである。対象は,ネパール人および日本人成人男子,合計208名である。最大酸素摂取量は,日常生活中の身体活動の影響を強く受けていたが,%Fatや食事などの影響はほとんど認められなかった。また,ネパール人集団のほとんどには,長時間にわたる歩行の習慣が認められた。Mortorizationなどの影響を強く受けているSedentaryな都市生活者集団は,日本人の場合もネパール人の場合も,40ml/kg/min以下の最大酸素取摂量を示した。山間部などに住み,重労働に従事しているネパール人集団の最大酸素摂取量は,50ml/kg/min以上であった。これらを除いた集団の最大酸素摂取量は,40〜50ml/kg/minの範囲であった。これらの結果は,前述の仮説を支持するものであると考えられた。
- 九州大学の論文
- 1980-03-30
著者
-
安永 誠
福岡工業大学
-
今野 道勝
Institute of Health Science, Kyushu University
-
今野 道勝
Institute Of Health Science Kyushu University
-
緒方 道彦
Institute of Health Science, Kyushu University
-
千綿 俊機
Fukuoka Instiute of Technology
-
千綿 俊機
福岡工大
-
緒方 道彦
Institute Of Health Scielece Kyushu University
-
安永 誠
福岡工業大学一般教養文系
-
安永 誠
Department of Health and Physical Education, Fukuoka Institute of Technology
-
今野 道勝
九州大学健康科学センター
-
大坂 哲郎
Department of Health and Physical Education, Fukuoka Institute of Technology
-
千綿 俊機
Department of Health and Physical Education, Fukuoka Institute of Technology
-
吉水 浩
Department of Health and Physical Education, Kurume University
-
増田 卓二
Department of Health and Physical Education, Kurume University
-
吉水 浩
Kurume Univ. Kurume Jpn
関連論文
- Stretch-shortening cycle Exercise に及ぼす咬合バランスの影響
- 学生の体格・体力・性格の相互関係
- 運動, 栄養, 身体組成と血中脂質
- 9.日本人とネパール人の血圧について : 適応と訓練効果に関する研究 : 第36回日本体力医学会大会
- 下肢筋出力に及ぼす咬合バランスの影響 : 等速性膝関節筋出力について
- ネパール丘陵農民の窒素出納からみるたんぱく質栄養
- ネパール王国丘陵地農民の季節に伴う血球計数の変化
- ネパール都市近郊チベット難民キャンプ住民の形態および最大酸素摂取量 : 9年後のフォローアップ研究
- 一流水球競技者の血液性状および栄養摂取状態について--シーズン中とシーズンオフの比較より--
- 熊本県女子サッカー国体選手のメディカルチェックと競技向上への活用
- 大学生の形態および最大酸素摂取量
- 運動形態の違いが糖代謝に及ぼす影響
- 中高年婦人の健康づくり運動教室の効果に関する研究 : 4年間継続者と中断者における血清脂質の動態
- 日常生活における消費エネルギー量推定のための基礎的研究 : HR-Vo_2関係式を用いた3種類の回帰式の比較検討
- 中高年婦人の形態および身体組成に及ぼすエアロビック・コンディショニングの効果
- 215.体力、体組成を考慮した心拍数から求めるエネルギー消費量推定の試み。 : 青年男子について : 体型,体位,発育発達等に関する研究 : 第41回日本体力医学会大会
- 041214 ラグビー選手の形態・体力 : 九州代表選手とF大学選手の比較を中心として(4.運動生理学,一般研究B)
- ネパール王国の都市近郊に居住するチベット移住民の形態および最大酸素摂取量
- Results from the Blood Tests and Nutritional Intake in Elite Water-Polo Players : Differences in the In-Season and the Off-Season
- 425.下肢筋出力に及ぼす咬合バランスの影響 : 等速性膝関節筋出力について
- Double Product Break Point Systemを利用した中高年齢者の体力評価について
- DOUBLE PRODUCT BREAKE POINT SYSTEMを利用した中高年齢者の体力評価について
- 380. 足関節底屈筋における伸張-短縮サイクル運動 : 足関節のバネ解析の試み
- 咬合改善に伴う下肢筋力の変化
- カプサイシン摂取がエネルギー代謝に及ぼす影響について
- 中高年者の有気的作業能および体脂肪率と血清脂質との関係について
- 53.中高年者の有気的作業能および体脂肪率と血清成分との関係について : 運動生理学的研究I : 第40回日本体力医学会大会
- ネパール人(中部山岳民)の身長・体重および身体組成
- ネパール王国西北部山岳地に居住するタカリ族の形態および最大酸素摂取量
- ネパール王国山岳地住民(シェルパ族)の形態および最大酸素摂取量
- ネパール王国丘陵農村ならびに都市近郊農村住民の形態および最大酸素摂取量
- 日韓青年女子の身体組成と栄養状態の比較
- ゴルフプレイの生体に及ぼす効果(第1報) : 日常生活時との対比
- ネパール王国の都市近郊に居住するチベット移住民の食生活
- ネパール王国丘陵農村ならびに都市近郊農村住民の食生活および栄養素等摂取状況の比較と季節差 : 第二次健康科学調査
- 食餌・運動・身体組成と血清脂質 : 都市と山村との比較
- 中高年者の運動の心理的効果
- 食餌, 身体組成と収縮期血圧
- 食餌・運動・身体組成と拡張期血圧
- 肥満と身体活動と食餌摂取量との関係について
- 体脂肪率による肥満度の判定規準
- 成分表の改訂が栄養調査の結果に及ぼす影響について
- 福岡市近郊の成人男女の栄養・運動・身体組成について
- ネパール王国の丘陵地農民における形態・体力の季節変動
- ネパール王国の都市近郊に居住するチベット移住民の医学調査
- ネパール王国丘陵農村ならびに都市近郊農村住民の血圧, 食塩摂取量および血液生化学検査の比較と季節差 : 二次健康科学調査
- ネパールにおけるB型肝炎ウイルス(HBV)およびA型肝炎ウイルス(HAV)感染
- ネパール王国丘陵農村および都市近郊農村住民における健康科学調査 : 生活歴, 家族歴, 自覚・他覚的所見を中心に
- 力仕事を測る試論
- 進化・遺伝と健康態
- 267. ネパール人を対象とした生活形態と体脂肪率に関する研究 : 非競技者の体力に関する生理科学的研究
- "肥満は必然である"その行動生理学的考察
- ネパール高地山岳民(Sherpa族)の食塩摂取量
- 段階的運動負荷中及び回復期における血中カテコールアミン, 血清カリウム, 脂質及び血糖の動態
- 個人のエネルギー消費量概算について
- 心拍動態の過渡特性に関する一考察
- 都市近郊に住居する日本人とネパール人のMaximal Aerobic Power
- 107.出産の生体負担度 : 日本人とネパール人について : 運動生理学的研究I : 第36回日本体力医学会大会
- ネパール高地人のMaximal Aerobic Power
- 20.日本人とネパール人の歩行に関する健康科学的比較研究 : 運動生理学的研究 : 第35回日本体力医学会大会
- 生活形態と身長, 体重, %Fatに関する比較研究
- 至適な運動負荷を知るための生活形態と体力に関する比較研究
- 日本人とネパール人の歩行に関する健康科学的比較研究
- 35.身体活動の程度と最大酸素摂取量の国際比較 : 体力比較のための指標設定に関する検討 : 日本人の体力 : 日本体力医学会創立30周年記念シンポジウム
- 都市に生活する日本人女子児童の身体組織と運動機能に関する縦断的研究
- テ-プレコ-ダ-を利用したPortable Heart Rate Recorder-2-の試作 (藤本実雄教授退官記念号)
- 162. 心拍数からみた日常生活における身体活動の程度と作業能力との関係について : 体温・発汗・代謝
- "出力-持続時間特性"からみた中年令者の作業能力の特徴
- テ-プレコ-ダ-を利用したPortable Heart Rate Recorderの試作
- 低学年児童の敏捷性について : 9.測定評価に関する研究
- "出力一持続時間特性"からみた中年令者の作業能力の特徴 : 5.運動生理学に関する研究
- ヒトの"出力-持続時間"特性について
- 生活形態の異なるネパール人青少年(6才〜18才)の体脂肪率
- 大学体育実技における身体活動水準が女子学生の形態およびMaximal Aerobic Powerに及ぼす影響 : バトミントンおよびサッカーを用いた授業の効果
- 長崎県鷹島町住民の健康科学調査 : 形態および最大酸素摂取量
- 44.血中・尿中物質から見た鍛錬者と非鍛練著の長時間歩行 : 運動生理学的研究I : 第40回日本体力医学会大会
- 27.長時間歩行の生体負担度について : 運動生理学的研究I : 第40回日本体力医学会大会
- 50. 学生の体型・体力・性格からみた体育・スポーツに対する態度とその活動
- 134. 学校体育におけるスポーツ・カウンセリングの研究 (II) : 試合場面に及ぼす性格特性の影響
- 133. 学校体育におけるスポーツ・カウンセリングの研究 (II) : 運動部員の性格特性とスポーツに対する態度
- H-G model
- ネパール都市近郊住民の24時間心拍数
- 主婦を対象とした健康づくり教室の形態, 体力および血清脂質に及ぼす影響
- 簡単な長時間記録用データレコーダの試作
- 54. Step Test におけるノモグラム作成のための基礎的研究
- 2. 発育段階からみた児童の身体作業能力について
- 種々の作業強度における最大作業持続時間と酸素摂取量および酸素負債との関係 : 運動生理学的研究
- 大学体育実技における身体活動水準が男子学生の形態およびMaximal Aerobic Powerに及ぼす影響 : 現役入学生と浪人経験入学生の比較
- ネパールのチベット難民キャンプ内に居住する小児の体格
- ネパール王国中部農村の生業活動と季節
- 情報系学生の自転車エルゴメ-タ-を用いた運動負荷テスト結果について
- 与那国島住民の健康調査 : (1)循環動態を中心として : 血圧と心電図左室電位について
- 日常生活における〓O2-HR長時間記録装置の応用
- 学生の身体活動水準とMaximal Aerobic Powerに関する研究--1年間の高専学生を対象とした調査報告
- 日常生活における身体活動レベルと最大酸素摂取量(Vo2 max)の関係--ネパ-ル人を対象とした研究調査報告
- 中高年者の健康の維持増進のための運動処方 : 八田青葉台における実践結果
- 与那国島住民の健康調査 : (3)形態および体脂肪率について
- 体組成の変化量を推定するための皮脂厚法と体水分法の比較
- 与那国島住民の健康調査 : (2)血清脂質について