<原著>ネパール王国丘陵農村ならびに都市近郊農村住民の食生活および栄養素等摂取状況の比較と季節差 : 第二次健康科学調査

概要

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第二次調査として1987年夏と同一地域の丘陵農村と都市近郊農村で冬期の健康科学調査の一環として栄養調査を行った。両村における冬期の食物摂取状況を比較するとともに, 村別の季節変動を検討する目的で夏期と同様のプロトコールで調査を行った。1. 対象は20歳以上の成人で丘陵農村男性147名, 女性140名, 都市近郊農村男性114名, 女性126名の計527名であった。2. 穀類エネルギー比は, 両村ともに約75%であり, たん白質エネルギー比は約10%, 脂質エネルギー比は約11%で, 糖質依存の食形態であった。3. 冬期は農閑期であり食糧が十分あるにも拘わらず丘陵農村のエネルギー摂取量は約50kcal/kg, 都市近郊農村では58kcal/kgであった。4. たん白質摂取量は両村とも体重当たり1.06g/kgを超えていたが, 動物性たん白質を全く摂取していない人の割合は丘陵農村58%, 都市近郊農村15%であった。5. 繊維の摂取量は我が国の約3倍であった。カルシウム, カリウム, 鉄, ビタミンの摂取量は村間に差はなく我が国と近似であった。6. 食塩摂取量は都市近郊農村が高い傾向を示し, 丘陵農村11.0g, 都市近郊農村15.3gであった。7. 季節による変化は, 丘陵農村ではタルカリの材料である野菜に季節差がみられ, アルコールの摂取が減少した以外には, 顕著な差は認められなかった。都市近郊農村では動物性食品の担取を伴う栄養素等摂取量の増加がみられたが, その要因は季節による収穫量の違いに加えて, 2年半の問に生じた食物摂取状況の都市化, 欧米化による要因も充分考えられた。
1992-02-08

<原著>ネパール王国丘陵農村ならびに都市近郊農村住民の食生活および栄養素等摂取状況の比較と季節差 : 第二次健康科学調査

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