塩茶を常飲するネパール山岳地住民(シェルパ族)を対象とした高血圧発症要因に関する比較疫学的研究 : ネパール丘陵地農村住民との比較

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1)標高2,600から2,800mの山岳地(Helambu地区)に住むチベット系農民(Sherpa族)351名(平均年齢 : 男性47歳, 女性50歳)を対壊に.これまでネパールの他の地区で行ってきた調査と同一方法を用いて学際的な健康科学調査を行い, ネパール丘陵地農村住民(Tamang族)の成績と比較検討した。2)山岳地農村住民の血圧は明らかに高値を示し, 男性の平均値は137/90mmHg, 女性では140/90mmHgであった。境界域高血圧を含む高血圧の頻度は, 男性が46.8%, 女性では46.6%を占め, 50歳を過ぎると高血圧者が半数を占めた。3)山岳地農村住民の推定尿中Na排泄量は男性262mEq/日, 女性239mEq/日で, 丘陵地農村住民山それより有意に多かった。そのうち約40%を塩茶から摂取していると推定された。他方, 尿中K排泄量も山岳地農村住民が有意に多かった。4)肥満度, 体脂肪率は丘築地農村住民より有意に高値を示した。5)予想していたほど最大酸素摂取量は大きくなく, 年齢補正を行うと丘陵地農村との間に差はなかった。6)食事では動物性脂肪の摂取量が多く, 約50%を塩茶から摂取していた。しかし, 蛋白質, とくに動物性蛋白質の摂取量は少なかった。7)血圧関連因子として, これまでわれわれが報告してきたように, 年齢のほかに肥満度や体力が関わっており, 食塩摂取量は要因として有意に正に関与したが, 栄養摂取状態や食事の質の影響も大きかった。また, 交通や文化の発達した地域と異なり, ネパールでは季節のちがいによって労働量や収穫作物に著しい差があり, そのことがそこに住む人々の健康状態に大きく影響していろと考えられた。

塩茶を常飲するネパール山岳地住民(シェルパ族)を対象とした高血圧発症要因に関する比較疫学的研究 : ネパール丘陵地農村住民との比較

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