食嗜好とエネルギー消費を基盤とした食品健康科学研究
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概要
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エネルギーの過剰摂取や運動不足による肥満は種々の生活習慣病増加の原因となっている。高カロリー食の摂取欲求やエネルギーを消耗する運動の忌避はともに動物としての本能に根ざしたものであり, 動物行動科学的な視点なくして改善は容易ではない。現代人の過剰なエネルギー摂取を改善するための食嗜好の制御と無理のないエネルギー消費促進を目的として, 基礎となる次の三つの問題をおもに実験動物を用いて解析した。 (1) 油脂をはじめとする高嗜好性食品のおいしさのメカニズム: 油脂の口腔内受容機構を明らかにし, 味細胞表面に受容体候補タンパク質を見出した。一方, 動物行動学実験によって油脂の摂取がマウスに報酬効果をもたらすことを明らかにし, 高嗜好性食品への執着のメカニズムを示した。 (2) 運動によるエネルギー代謝変化の解析: 長時間の水泳運動を課したラットの脳脊髄液中に, マウスの自発行動を抑制する物質が増加することを見出し, 活性型TGF-βであることを明らかにした。脳内TGF-βは血中の乳酸濃度の上昇などに伴って増加し, 体温上昇や末梢の脂肪酸化を促進する作用をも有していた。疲労の指標となることが期待できる。 (3) エネルギー消費促進としての食品成分による自律神経の制御: 香辛料を中心として, 人間の自律神経活度を高める成分の探索とメカニズム解析を行った。京都大学の矢澤が発見した無辛味トウガラシから抽出した新規カプサイシン様物質に, エネルギー消費を促進する作用があることを見出し, 自律神経を介してマウスやヒトの体脂肪蓄積抑制効果があることを明らかにした。
- 2010-04-10
著者
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