新時代の特別支援教育に対応する教員養成システムの研究(1)本学における特別支援教育科目の教員養成課程必修化の意義と課題(第1報)
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概要
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平成22年度から本学で教職基礎科目として必修化された「特別なニーズのある子どもの教育」の受講生を対象に,受講前の障害及び特別なニーズのある子どもについての基礎知識や受講後の意識の変化等に関する質問紙調査を実施した。回収率は88.6%であった。近年の新たな障害の表記方法の認知については47.5%,点字や手話,バリアフリーやユニバーサルデザインについては,ユニバーサルデザインの93.9%以外すべて98%以上の学生が認知していた。しかし,「ハンディキャップ」という用語が国際的に公的な場で使用されていないことについては81.8%の学生が知らなかった。障害名の認知については視覚障害・聴覚障害・知的障害は95%以上,自閉症・言語障害は90%以上で,発達障害が85.8%,肢体不自由(運動障害)が73.6%の学生が認知していたと回答した。実際の接触経験は知的障害が最も多く61.5%であり,その他の障害は自閉症の39.4%を除き30%以下で,学生は障害のある多様な幼児児童生徒と接触した経験が少ない状態であった。また,80%以上の学生がこの講義に積極的に取り組み,今後の学習意欲も有していた。受講後に特別なニーズのある子どもや教育に対する考え方に変化があった学生は70.9%で,変化した内容は「理解の拡充」(31.3%)や「障害の捉え方の変化」(14.7%)であったが,専攻コースの教育に対する考え方が変化した学生は22.1%にとどまった。受講後学生は特別なニーズのある子どもやその教育についての知識を獲得しただけでなく意識も変容したといえるが,さらに専攻コースの教育にも反映される講義内容や講義形態の工夫が求められる。We have a plan to study the compulsoriness of special needs education’s subject , the promotion of education for understanding disabilities, the fulfillment of supporting students with special needs, the improvement of education practice, the coordination between the university and attached schools, public schools etc. and the coordination between the university and volunteer groups for people with disabilities , and so we aim to establish “the impulsion room for understanding disabilities” at Osaka Kyoiku University. This study is the first approach to the plan and its purpose is to clear up the significance and Issue on compulsory subject “education for children with special needs” of Course for School Teachers at Osaka Kyoiku University. Therefore we investigated the basic knowledge and the recognition change of all students to take the compulsory subject “education for children with special needs”. The questionnaires were distributed to 501 students and the valid response rate was 88.6% (444 students). The result of this study was as follows. 1) 211 students (47.5%)of Course for School Teachers at Osaka Kyoiku University had the knowledge that the kanji or hiragana representation “disability” in some Japanese agencies was changed , but they did not know that the term “handicap” was discriminatory and it was not official used in international agencies. Consequently, it will be requested to improve the education for understanding the international representation and idea of “disability”. 2) 417 students (93.9%) and over knew Braille, sign language, barrier-free and universal design. They had these concrete knowledge of the support for people with disability.3) 327 students (73.6%) and over knew visual impairment, hearing impairment, intellectual disability, physical disability, language disorder, autism and developmental disability. 4) 98 students (22.1%) knew the upper concept of developmental disability and all lower concepts of Asperger Syndrome, High-Functioning Autism, Learning Disability (LD), attention-deficithyperactivity disorder (ADHD). 301 students(67.8%) especially knew learning disability.5) The number of students to have their experience of direct contact with intellectual disabled children was largest and 273(61.5%), but the rates of the rest disabilities were 30% or less. 6) 63 students(14.7%) only knew the extension of the concept “ special needs education”. It will be requested to devise the content of the education for understanding disabilities in kindergarten, elementary school, lower secondary school and upper secondary school.7) 90% and over students answered that the compulsory subject “education for children with special needs” was essential to their and learning in this lecture was utilized for their future educational activities.8) 70% students answered that their ideas of education for children with special needs were changed. They acquired the knowledge and their consciousness were too changed by taking this lecture. Therefore the compulsory subject “education for children with special needs” was important for all students of Course for School Teachers at Osaka Kyoiku University, but it was difficult for them to understand the concrete method of special needs education by only one subject of the half year. We have to consider the content of the future lecture and the setting of the subject.
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