聾学校小・中学部における「個別の指導計画」の作成・活用に関する一考察
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概要
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本研究の目的は、聾学校小・中学部における「個別の指導計画」の作成・活用に関する現状と課題について、質問紙調査を通じて明らかにすることである。 質問紙調査の対象は、全国の聾学校(小・中学部設置校)で、各校の学部主事または学部の現状を把握している教諭に調査用紙の記入を依頼した。調査用紙における質問項目は、「『個別の指導計画』作成の重要性」「『個別の指導計画』の作成状況」「対象児の実態把握」「個別の指導目標の設定」「個別の指導計画表の項目」「『個別の指導計画』に基づく指導の評価」「『個別の指導計画』の作成の効果」「『個別の指導計画』の作成上の課題」など20項目で構成した。調査の回収率は、小学部75.5%(98校中74校)、中学部75.8%(91校中69校)であった。 調査の結果、両学部を通して、1)「個別の指導計画」を重要と考える理由としては、主に「個々の障害・発達への的確な対応」「個々への支援の最適化」「個々への指導の一貫性」がある。2)「個別の指導計画」の重要性は認識しているが、作成率はそれほど高くない。3)「個別の指導計画」の作成過程における教科・領域の指導担当者の負担が過重である。4)「個別の指導計画」全体を通して保護者や医療・専門機関との連携がまだ十分ではない。などの点が共通していることが明らかとなった。The purpose of this study is to investigate the present condition and the problem on drawing up and making use of Individualized teaching plan in school for the Deaf. The questionnaire consisted of 20 items on the importance, the condition, the process, the effect, and the problem of drawing up Individualized teaching plan. The object of this investigation was directors in school for the Deaf or teachers who have a good grasp of the present condition of it. As a result of this investigation, the following became clear: 1. Individualized teaching plan was important from the point of consistency of teaching of individual, suitableness of individual support, accurate respondence of individual handicap and development. 2. The rate of drawing up Individualized teaching plan was about 60 percent in school for the Deaf. 3. In the process of drawing up Individualized teaching plan, the teachers who took change of the subject and the area were too much. 4. The cooperation with parents and medical institutions was not enough.
- 大阪教育大学教育学部障害教育講座の論文
- 2001-12-25
著者
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