醤油粕中の多糖類とその圧搾困難性におよぼす影響

概要

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(1)醤油粕中の不溶性固形分(洗浄粕)は,およそ10%の微生物菌体, 30%の蛋白質, 20%の大豆由来の非蛋白物質, 30%の小麦由来の非蛋白質より成ることを推計した.そのうち,大豆由来の非セルロース系酸性多糖類は7%であった. (2)洗浄粕の濾過抵抗は圧搾性に相関があるとして,それにおよぼす構成成分の寄与を求めた.その結果,非セルロース系多糖類の寄与は70%程度であり,そのうちの酸性多糖類の寄与は40%以上と考えられた. (3)洗浄粕中の多糖類はセルロース以外には,大豆由来の酸性多糖類,小麦由来のアラビノキシラン,でんぶんよりなっていた.酸性多糖類は醤油中にあるものと類似のものと,ガラクチュロン酸含有量90%前後のものとの2種類があったが,後者は,高濃度食塩溶液中では不溶化し,圧搾性にかなり関与していることが示唆された. (4)脱脂大豆を過酸化水素またはシュウ酸アンモニウムで処理した場合,あるいは細胞壁溶解酵素を添加した場合は,その酵素分解スラリーの圧搾性は向上した.原料の多糖類変性処理は醤油醸造において,圧搾性改良の可能性のあることが示唆された.
社団法人日本農芸化学会の論文