末期にmicroangiopathic hemolytic anemiaを合併したoverlapping syndromeの1剖検例
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概要
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多発性筋炎(PM)の臨床症状をもつて発症し,約4年後進行性全身性硬化症(PSS)の重複を認めたoverlapping syndrome (OLS)において,末期に微小血管症性溶血性貧血(MHA)を伴う急性腎不全を合併した1剖検例を経験した.希な病像であるが膠原病の本質的性格を表現した示唆に富む症例である.とくに末期の病像の相互関係を中心に考察した.症例: 64才,女性. 1976年筋力低下,多発性関節痛, Raynaund現象, 1977年第1回入院. CPK, aldolase, LDH異常高値,抗核抗体陽性, EMG筋原性パターン,筋生検像(筋線維の変性,軽度の細胞浸潤)よりPMと診断した.副腎皮質ホルモンにより改善したが, 1980年心悸亢進と筋力低下の再発のため再入院.今回は顔面皮膚,手指の硬化,肺線維症を認め, PMとPSSのOLSと診断した.経過中急性腎不全, MHAの合併がみられ,肺炎を併発して死亡した.剖検所見ではPMの特徴的筋炎像は乏しくPSSの所見が目立つ.末期のMHAを伴つた腎不全は, (1) PSS腎症に成人型溶血性尿毒症症候群(HUS)または血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の併発,あるいは(2) PSS腎症の先行なしにHUSまたはTTPの併発が考えられるが,いずれとも判断し難い.糸球体輸入動脈の肥厚をはじめとする病理組織像はPSS, HUS, TTPに共通してみられ,鑑別困難であるからである.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
加納 正
京都大学医学部第一内科
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内野 治人
京都大学第1内科
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内野 治人
京都大学医学部第1内科
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内野 治人
京都大学第一内科
-
加納 正
京都大学医学部
-
迫田 寛人
京都大学医学部第一内科
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内野 治人
京都大学医学部第一内科
-
内野 治人
京都大学医学部内科学第一講座
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