興味ある門脈血行動態を示した肝癌合併,短絡術術後の1症例
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概要
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リニア電子スキャンとパルスドップラー法を組み合わせたリニア電子スキャン・パルスドップラー複合血流計により,門脈などの深部血管の血流測定が可能となった.我々は,この方法による血流測定と門脈圧・肝静脈圧などを同時に測定し,肝臓を中心とした門脈の血行動態を定量的に把握するよう努めてきた.<BR>今回,肝癌の患者で,5年前に上腸間膜静脈・下大静脈H型吻合術を実施されていた患者に上述の検査を実施し,門脈血行動態上,興味ある以下の知見を得た.1)門脈本幹血流の逆流が認められたこと.2)シャントを介した圧較差ぶ6mmHg,血流が約3,000ml/minと計算され,同シャントの血管抵抗が非常に低値であると証明されたこと.さらに,3)肝癌による下大静脈圧排という血行動態の修飾により,類洞圧の低下がみられず,結果として類洞より肝静脈に灌流される血液が充分に存在していたと想像されたことであった.
著者
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熊田 馨
京都大学第2外科
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日笠 頼則
京都大学第2外科
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森 敬一郎
京都大学第2外科
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森安 史典
京都大学第1内科
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武田 保秀
医仁会武田
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内野 治人
京都大学第1内科
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伴 信之
京都大学第1内科
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中村 武史
京都大学第1内科
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西田 修
京都大学第1内科
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三浦 賢佑
京都大学第1内科
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三宅 健夫
京都大学老年科
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酒井 正彦
京都大学第1内科
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紫田 安宅
医仁会武田病院
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