非分泌型(IgG-κ)から非産生型を経て,分泌型(BJ-λ)に変貌した特異な骨髄腫
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概要
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非分泌型(狭義, IgG-κ)で発症し,化学療法後に非産生型となり,さらに末期に分泌型(BJ(λ))に変貌したきわめて特異な骨髄腫例を報告した.症例は49才の男性. 1974年4月の初回入院時,末梢血液像や骨髄像に著変なく,血清や尿中にM成分は認められなかつたが,著明な骨破壊像が認められ,頭蓋骨生検および生検タッチ標本の蛍光抗体法によりIgG-κ型非分泌型骨髄腫(狭義)と診断.経過中,脊髄横断症状が出現した際に,骨髄および摘出腫瘤を蛍光抗体法やhomogenateの免疫電気泳動法で検索し,骨髄腫細胞が免疫グロブリンの産生能を失つたことを確認した.ところが,死亡2カ月前の1978年10月より急にλ型BJ蛋白が出現した.蛍光抗体法によりこの頃の骨髄中の骨髄腫細胞はλ型BJ蛋白のみを産生していることを確認した.本例の骨髄腫細胞の由来について, (1)非分泌期よりみて非産生期とBJ蛋白分泌期と2回にわたつて変異した結果生じたもの,すなわち腫瘍細胞は全経過を通じて同一のクローン由来である. (2)当初の非分泌期の腫瘍細胞とは別に新たに生じたクローンと考える.すなわち同一個体に2種の骨髄腫細胞が発生した,とする二つの見解がある.本例の場合, 2種のM成分を産生する骨髄腫にその類似点を求めることがでぎ, (1)の見解の可能性が考えられる.すなわち,腫瘍細胞は全経過を通じて同一クローン由来で,免疫グロブリンの産生・分泌態度が化学療法により変貌した可能性を考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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