牛の放牧による肉生産に関する研究 : VI. 牧草放牧地の草生産性と牧養力
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概要
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1. 1964-1966年の3ヵ年にわたり,東北大学川渡農場の牧草地で,黒毛和種若令去勢牛を用いての全放牧試験が実施されたが,その草•植生調査結果と放牧管理記録から,放牧地の草生産性と牧養力の推定を試み,主としてその季節的変化について検討した.2. 放牧法は6-10牧区による輪換放牧で,各年度とも5-10月の放牧期間中に6回の輪換を行なった.各輪換ごとの草生力は,現存量と休牧日数とから1日当り産草(再生)量として示した.牧養力は1頭当り所要面積の方式で示し,別に1日1頭当り放牧面積も算出した.なお現存量と残草量とから利用率を推定し,また値生の推移については,マメ科草の混生比率をSDR2法で春秋2回ずつ調査した.3. 草生力は春季の約30kgから秋季の約10kgへと輪換番号のすすむにつれて漸減した.これに対応して牧養力も,春期の10-12aから秋季の約30aへと低下した。利用率は初回放牧と秋季が高く,平均65〜70%であった。4. 10a当り現存量は,春季の約1,300kgから秋季の約400kgへと著減し,放牧管理法が合理的でなかったことを示した.また1日1頭当り放牧面積も春季の0.4-0.45aから秋季の約1.1aへと増し,現存量の変化とは必ずしも比例しなかった.5. 植生におけるマメ科草の混生比率は,3ヵ年を通じて35-20%の間に止まり,あまり変化なかった.また草の化学成分も各年度間および各季節間に著しい変化は認められなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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