オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)再生時の葉身の発育と窒素栄養
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概要
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オーチャードグラスをN水準(N,3N区)を変えて栽培し,刈取後の再生葉身の発育およびクロロフィル(Chl.),N,P,可溶性炭水化物など光合成と関連の深い成分の変化を調べた。刈取7日目までは両処理区とも再生組織の大部分は切断葉身であったが,10日日以後は切断葉身と完全葉身とからなった。3NはN区にくらべ,再生速度や葉の展開速度が速く,再生地上部にしめる葉身重の割合も大きい。葉身のChl.含有率は,N区の切断葉,3N区の完全葉では10日目にはほぼ最高値を示し,その後の変化は少いが,3N区の切断葉ではさらに高含有率となる。N区の完全葉ではChl.濃度の増加速度が他とくらべ著しく遅い。TCA不溶性N(TCA ins-N)含有率は,刈取直後より3N区がN区より高いが,両区とも一時減少し,その後Chl.の増加にともない5日目頃より再び増加する。切断葉,完全葉とも10〜14日目に最高値を示す。従ってChl./TCA inS-N曲線は,Chl.含有率の低いN区の完全葉をのぞき,10〜14日目に勾配が緩慢となった。なお3N区の切断葉での10日目以後のChl.集積時にはTCA ins-Nの増加は伴わなかった。TCA ins-P,85% Ethanol可溶糖とも3N区がN区より高く,10日日頃に最高値を示した。再生期を7日目までの初期とそれ以後の中後期に分けてみると,高N栄養では低Nにくらべ,初期は伸長とChl.の増加速度が,中期以後は個体当りの葉身数とChl.含有量が特に勝っている。また低N栄養の完全葉では,Chl.の集積が著しく遅れるなどN栄養により葉身の緑化速度に顕著な差が認められた。再生葉へのN給源として,前期の葉身(大部分が切断葉)では刈株の貯蔵-Nが,中期以後のものでは再生過程の吸収-Nが重要と考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1988-03-20
著者
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