発情牛の発情臭とその発散部位

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雄牛が発情牛を識別する際に関与しているといわれる,発情牛からの発情臭の発散源,および,その部位について検討した.1. 発情牛または非発情牛から採取した膣粘液,尿,糞をガーゼに含ませ,雄牛がどの試料にスニッフィング,フレーメン等の性行動を行なうかを調査した.その結果,雄牛は膣粘液と糞には反応せず,尿に対しては,かなりの反応を示した.特に,雄牛の尿より雌牛の尿に対する反応は大きかったが,発情牛と非発情件の尿間では差が認められなかった.2. 膣洗浄した発情牛と非発情牛の外陰部とその周辺に発情牛の膣粘液を塗布し,雄牛がいずれの雌牛を選択するかを調査した.その結果,雄牛は発情牛にスニッフィング等を示したが,特に膣粘液の臭いに引かれるということは見られなかった.また,発情牛または非発情牛の膣粘液あるいは尿をガーゼに浸し非発情牛の外陰部に付着した場合,雄牛は特定の試料を選択するという行動を示さなかった.3. 発情牛と非発情半の体表面の全てをシャンプーで洗浄し,雄牛がどちらの雌牛を選択するかを調べた.その結果,洗浄直後では発情牛と非発情牛の識別が困難となったが,少なくとも4時間以内には再び識別可能となった.また,牛体を前•中躯,後躯および外陰部とその周辺に分けて洗浄を行なった結果,発情臭は,後躯や外陰部とその周辺の広い範囲から発散していることが推察された.以上の結果から発情臭は,これまで報告されてきた膣粘液,尿,糞のいずれもその発散源とは考えにくく,発情牛の半体表面,特に後躯や外陰部とその周辺から発散していることがし唆された.
社団法人日本畜産学会の論文

発情牛の発情臭とその発散部位

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