スギ枝葉の着生部位による栄養生理的役割の相違について

概要

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1)水耕栽培した当年生スギを燐酸欠除培地に移して生育させたもの(+P→-P), また同様に燐酸欠除培地から完全培地に移し(-P→+P)生育させたものの上・中・下位枝葉部先端での, 各形態の燐の変動を経時的に追跡し, それぞれの枝葉および個体としての各枝葉の働きを考えた。2)燐酸処理後, その量的変化の大きいのは無機態燐であり, 各枝葉で特徴のある動きを示した。また冷酸可溶有機態燐も同じように変化するが量的に少ない。他の脂質態, RNA態, DNA態, および残渣燐の変化は各枝葉で特徴のある変化はみられない。3)中位枝葉の燐含量は, +P→-P区の後期と-P→+P区の初期に上位枝葉と同じ変動を示すが, このときこれらの枝葉に含まれている燐は直接生育に必要な限界量内での変化であろう。また中位枝葉の燐含量のみが独自の変動をする+P→-P区の初期, および下位枝葉の燐含量と同じように変動する-P→+P区の中期以後は, それらの枝葉がともに貯蔵器官としての働きを示唆している。
日本森林学会の論文
1968-04-25