草類嗜好性の測定方法に関する研究 : 第1報給与草の嗜好性に対する数種測定の比較

概要

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(1)相対的嗜好性を採食量基準によって測定するとしても,各種の測定方法によって,嗜好差のあらわれ方に差のでやすいことが予想されるので,その間の事情を明らかにし,とくに相互の嗜好差の大きいものどうしと,小さいものどうしとの場合に,それぞれに適合性をもつ測定法を究明したいと考えて本試験を実施した。(2)嗜好性の測定方法として(i)採食速度法,(ii)2点自由選択法,(iii)全点自由選択法の3法を比較すると,(i)法では嗜好差のあらわれ方がもっとも弱く,(ii)法と(iii)法とはいずれも強くあらわれほぼ類似しておった。(3)この結果から,嗜好差の大きい供試草間の比較では(i)法がよりよく適合し,逆に嗜好差の小さいものどうしについては,(ii)法または(iii)法がより多く適合性を発揮するように思われた。(4)しかし(ii)法では,供試草の点数が増すにつれて,テストが加速度的に煩雑になるので,いずれの場合にも適合性をもちやすく,また操作が簡便で実際的でもある(iii)法が,もっとも好ましい測定方法であるように思われた。ただこの方法でも,供試草相互の嗜好差が大きすぎる場合は,1種類の草のみしか採食しないこともあるので,嗜好性最大のものから逐次オミットしながら,反復テストを続けるといったようなことも必要であろう。それによる相対的嗜好性の数量的把握のし方については,供試畜の頭数や供試場所の広さや形状,さらに供試草の配列や反復数など,テストの実施要領についてとともに,今後なお一層の検討が必要である。(5)嗜好性の絶対値的な係数表示の方法として,採食行動の観察による採食・反芻時間比の測定を試みたが,"物色"を伴う採食時間の分解的把握ができなかったせいもあって,必ずしも合理的な測定方法とは認め得なかった。むしろ1日当り採食総量や単位採食量当り反芻時間の方が,よりよく適合性をもつのではあるまいか,また反芻速度の計測が,操作簡便で実用的な測定方法たりうるのではあるまいかと思われた。
日本草地学会の論文
1966-03-30

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