草類嗜好性の測定方法に関する研究 : 第3報 給与草の嗜好性測定におけるCafeferia法実施要領の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
供試畜に乳牛,供試草にサイレージを用いながら,その嗜好性測定法としてCafeteria法(全点自由選択法)を実施する場合の,テスト場の面積や形状,供試牛の頭数や供試草の反復数などについて検討した。またCafeteria法をオミット方式で実施する場合,供試草の嗜好順位の決め方や相対的嗜好性の数量的把握方法について考察した。(1)テスト場の広さを1頭当り25m^2,50m^2および100m^2にして,またテスト場の面積を一定にしたまま,その形状を正方形と長方形にして,それぞれ相互の選択採食性を相関係数によって比較したが,いずれも顕著な差はなく,面積および形状変化の影響はほとんど認められなかった。これには,牛がテストに馴れると,ランダム配置された供試草を次々と巡回採食してゆくようになることがかなり関連していると思われた。したがってテスト場の面積や形状は,現実の諸条件に即応して,かなり自由に選定して差支えないと思われる。(2)供試頭数の選択採食性に及ぼす影響を,1頭ごと,2頭同時および4頭同時について比較したが,同時テスト頭数が増すにつれて,供試草種中の不採食数を減じ,相互の嗜好差を縮少させる方向に作用することがわかった。これは同時テスト頭数の多くなるほど,追われ回数の増加によって,牛相互の牽制による影響がでてくるためと思われる。(3)供試草8種類の反復数を,4頭同時テストで2反復と4反復で比較してみたが,反復数が増すにつれて選択採食性の鋭敏化が起り,同時テスト頭数の増加による影響と逆の方向で類似の現象がみられた。(4)供試頭数および供試草反復数の影響を総合的に配慮すると,1回だけのテストで全供試草の嗜好差を傾向的に把握しようとするような場合は,できるだけ供試頭数を多く,逆に供試草の反復数はできるだけ少なくしてゆくことが良いし,供試草の嗜好順位や嗜好性相対値をできるだけ正確に把握しようとする場合には,供試頭数を1頭ごとにし,供試草の反復数もできるだけ多くしてゆくことが望ましい。ただし後者の場合には,オミット方式による回数を重ねたテストが必要である。(1)各回のテストによって最高の採食量を示すものから,逐次除外してゆくオミット方式のCafeteraテストを行なう場合,嗜好順位の決定についてはほとんど問題ないが,相対的嗜好性の数量的把握については,一長一短をもつ各種の方法が考えられる。各回のテストにおける採食量最高のものと,他の各供試草との合計を100とし,それをそれぞれの採食量によって比例配分する方法をとると,全供試草の嗜好性相対値が平均で50となり,最低0から最高100の間におさまって,相互の嗜好差をかなり適正に表示するもののように思われる。
- 1967-02-28
著者
関連論文
- ウシの分娩に伴う初乳及び血漿インスリン様成長因子-I、成長ホルモン、インスリン、グルカゴン濃度変動について
- 東北大学農学部附属農場の発酵施設における牛ふんコンポストの製造とその品質評価
- 永年放牧地におけるダニ生息密度と環境条件 : I.川渡におけるマダニ相とその季節的消長
- 東北大学農場における放牧用日本短角種をレシピエントとした体細胞クローン子ウシの生産について
- ブラーマン種♂X黒毛和種・日本短角種およびホルスタイン種♀のF_1の飼料利用性と産肉能力の研究
- 東北大学農学部附属農場におけるホルスタイン種牛群の泌乳能力に関する育種学的検討 (II. 研究報告 ; 1. 投稿論文)
- 東北大学農学部附属農場における小型ピロプラズマ病の現状
- 東北大学農場における放牧用日本短角種をレピシエントとした体細胞クローン子ウシの生産について
- 103.川渡火山灰土壤における牧草に対する要素試験 : 第I報 三要素の基肥と追肥による効果について(土壌・施肥,日本草地学会第9回大会講演要旨)
- サフォーク、コリデール、フィンシープとこれらの三元雑種の仔羊の成長と母羊の繁殖成績
- 草地群落における種間競争に関する研究(1) : 放牧下でのペレニアルライグラス(3品種)およびトールフェスク(3品種)のオーチャードグラスに対する競争の草種間および品種間差異
- 放牧牛群の食草時におけるSpatial pattern : IV.食欲および吸血昆虫の影響
- 放牧牛群の食草時におけるSpatial Pattern : III.草生の影響
- 放牧牛群の食草時におけるSpatial Pattern : II.季節および牧区面積の影響
- 舎飼期における羊群での分娩実態
- 肉用牛におけるプロスタグランジンを用いた発情同期化による受精法TWO WEEK MONDAY MORNING PROGRAMの評価
- フタトゲチマダニ(H. longicornis Numann)に対するフルメトリン製剤の駆除効果
- 雌牛の発情行動および発情周期に及ぼす社会環境の影響
- 草類嗜好性の測定方法に関する研究 : 第1報 給与草の嗜好性に対する数種測定の比較
- 119.草類の嗜好性に関する研究 : 第IV報 放繋牧草の草種および生育ステージによる嗜好差について(飼料成分・飼養,日本草地学会第9回大会講演要旨)
- Xylocaine液による牛の嗅覚麻酔について
- 水牛の放牧適正について
- 野草地と牧草地の放牧条件が2品種(黒毛和種およびホルスタイン種)去勢牛の増体に及ぼす影響
- 放牧草の嗜好性判定におけるavailabilityの重要性
- オーチヤードグラスのサイレージおよび干草における嗜好性の変化
- 草類嗜好性の測定方法に関る研究 : 第2報 放牧草の嗜好性測定における数種方法間の比較
- 118.草類の嗜好性に関する研究 : 第III報 処理加工による嗜好性の変化について(飼料成分・飼養,日本草地学会第9回大会講演要旨)
- 施肥条件が庇蔭牧草の嗜好性に及ぼす影響
- 壮令林内牧草の採食利用性
- 草類嗜好性の測定方法に関する研究 : 第3報 給与草の嗜好性測定におけるCafeferia法実施要領の検討
- 放牧和牛の吸血昆虫の季節的ならびに日周的活動
- 牧草炭水化物の生理化學的研究 : 第1報 可溶性糖類の溶性区分について
- 7 フタトゲチマダニの生態に関する研究 I : 幼ダニの越冬性
- 6 川渡におけるマダニ相とその推移
- 川渡におけるマダニ相とその推移
- 放牧牛群の食草時におけるSpatial Pattern : I.調査方法について
- 草地•飼料作物に関する研究の動向
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : VIII.産肉方式の類型とその経営的考察
- 放牧条件下における発情牛群に対する肉用種雄牛の交配行動ならびに繁殖成績について
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : VII. 放牧条件が牛の行動に及ぼす影響
- ススキ給与時におけるクロモーゲンの回収率について
- 林間放牧に関する生態学的研究(1) : スギ幼齢林試験地の林況と和牛の初年度放牧
- 林内草地の集約的利用に関する実態の概況調査
- アカマツ壮令林地の牧草生産性
- 幼令造林地への牧草導入が放牧牛による林木の損傷に及ぼす影響について
- 去勢牛の育成肥育における代償性発育の生育期別検討
- 草類の可溶性炭水化物の生理化学的研究 : 第1報 刈取り再生過程におけるオーチャードグラス刈株のフラクトサン含有率及び重合度の変動について
- 60.草類の嗜好性に関する研究 : 第10報in vitroによる消化性の検討(飼料成分・飼養,第20回発表会講演要旨)
- 17.冬から春にかけてのオーチャードグラス葉鞘・根中のフラクトサン含量と分子量の変化(草類の生理・生態・栽培,第20回発表会講演要旨)
- 6.イネ科牧草の刈株におけるフラクトサン分子量の変化(草類の生理・生態,第19回発表会講演要旨)
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : VI. 牧草放牧地の草生産性と牧養力
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : V. 放牧による野草地植生の動態
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : II. 若令肥育における春子および秋子の全放牧による増体比較
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : IV. 濃厚飼料給与が若令去勢牛の放牧による増体に及ぼす影響
- 牛の放牧による肉生産に関する研究 : III. 濃厚飼料の給与率が全放牧後の若令去勢牛の仕上肥育に及ぼす影響
- ウシの子宮頸管の腺窩および粘液の形態学的観察
- 発情を同期化した未経産牛に対する雄牛の性行動ならびに交配成績について
- 牛の放牧による肉生産に関する研究-1-野草地および牧草地における全放牧の去勢牛の増体に及ぼす影響
- 草類嗜好性の測定方法に関する研究-1・2-