牛の放牧による肉生産に関する研究 : VIII.産肉方式の類型とその経営的考察
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概要
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牛の放牧による肉生産方式は,肉用牛経営形態との関連を中心にして類型化すると,放牧育成方式と放牧仕上方式とに2大別され,それらはおのおの全放牧と濃厚飼料補給放牧とに再区分される.このようにして分類された各産肉方式間の比較有利性は,立地条件や経営のような地域性に連なるもののほか,牛の品種や個体性,飼養管理の前歴,放牧開始時の月令,草地の草生状態や放牧方法,枝肉価格や肉質評価,経営者の技術レベルといったような諸要因によってきまる相対的なものである.したがって産肉方式の選択にあたっては,それに影響する諸要因のうちでもっとも基本的なものとみられる地域性に連なるものを中心に,各要因相互の関連性をよく配慮することが必要である.放牧を加味した若令肥育は,わが国においては未だ試験研究段階に止まっているが,飼料費や労力費の節減が可能なことから,またとくに放牧育成方式によるものでは,放牧後の仕上肥育によって補充発育による増体効果や肉質の改善が可能なことから,経済的な産肉方式としての将来性が期待される.今後放牧管理技術などの合理化に支えられて,その農村での普及が実現すれば,肉用牛経営における繁殖と肥育との複合化がすすむほか,繁殖育成と仕上肥育との地域間分業が可能となろう.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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