<資料>絵本を媒介とした母親と子どもの読み活動に関する研究の動向
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概要
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絵本の読み活動は、言語発達を促進する文脈特異的な環境を子どもたちに提供することが、多くの研究者によって示唆されてきた。しかし、そのような特異的な状況の中で生じる、母親と子どもの相互作用はどのように構成されるのか、それが子どもの言語発達にどのようにかかわるのか、また、特異化された文脈から、子どもに伝達される機能にはどのようなものがあるのか、についてはいろいろな見解がある。本論文では、絵本の読み活動の研究において、特異的な文脈を構成すると考えられているフォーマットとルーティンの概念に基づく研究を概観することで、絵本を媒介とした母親と子どもの読み活動に関する研究の現状と問題点を明らかにすることを試みた。その結果、フォーマットとルーティンは、ほぼ同義の概念と考えられるが、語彙獲得やリテラシーといった言語発達の領域のどこにねらいを絞るかによって、研究対象や分析カテゴリに違いが認められた。しかし、今後、相互作用の分析を共通次元のカテゴリを用いて評価することで、上述した疑問に答えられる可能性があることが示唆された。
- 筑波大学心身障害学系の論文
著者
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前川 久男
筑波大学
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石川 由美子
聖学院大学
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前川 久男
筑波大学心身障害学系
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前川 久男
Graduate School Of Comprehensive Human Science University Of Tsukuba
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