レチノイン酸の骨髄腫細胞への抗腫瘍効果におけるレチノイン酸受容体αを介した作用の重要性と新たな多発性骨髄腫治療薬としてレセプター選択レチノイドの検討
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概要
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オールトランスレチノイン酸(all-trans retinoic acid: ATRA)が骨髄腫細胞に対し増殖抑制効果を持つことが、これまで複数の研究者より報告されている。本研究で我々はATRAの骨髄腫細胞への増殖抑制効果において6種類あるレチノイン酸受容体のどの受容体を介した作用が重要かを検討した。レチノイン酸の受容体にはレチノイン酸受容体(retinoic acid receptor: RAR)(α、βおよびγ)とレチノイドX受容体(Retinoid X receptor: RXR)(α、βおよびγ)が存在する。ヒト骨髄腫細胞株、U266B1およびRPMI8226には、これらRAR(α、βおよびγ)とRXR(α、βおよびγ)がすべて発現している。各受容体に選択的に作用する合成レチノイドを用い増殖抑制効果を検討したところ、RARα選択的レチノイド(Am80)が他のレセプター選択性アゴニストに比べ強力な増殖抑制効果を示し、その効果はRARαアンタゴニストにより阻害された。これらの結果より骨髄腫細胞におけるレチノイン酸の増殖抑制効果はRARαを介した作用が重要であることが明らかとなった。さらにATRAおよびAm80に単独では増殖抑制効果の弱いRXR選択性レチノイドを併用添加したところ、ATRAおよびAm80の単独投与に比べ増殖抑制効果の顕著な増強を認めた。これらの結果より様々なレセプター選択性レチノイドの使用が多発性骨髄腫治療において有用な治療となる可能性が示唆される。
- 2013-03-31
著者
-
寺村 正尚
東京女子医科大学血液内科
-
泉二 登志子
東京女子医大心研
-
岡村 隆光
東京女子医科大学血液内科
-
寺村 正尚
東京女子医科大学 皮膚科学教室
-
増田 道彦
東京女子医大血液内科
-
岡村 隆光
東京女子医科大学
-
岡村 隆光/増田
東京女子医科大学医学部血液内科学;獨協医科大学越谷病院糖尿病内分泌・血液内科/東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科/東京女子医科大学医学部血液内科学/東京女子医科大学医学部血液内科学
-
岡村 隆光
獨協医科大学越谷病院内科
-
岡村 隆光
東京女子医科大学医学部血液内科学;獨協医科大学越谷病院糖尿病内分泌・血液内科
-
泉二 登志子
東京女子医科大学医学部血液内科学
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