多発病変を認めた両側副腎原発非ホジキンリンパ腫(MALT型)の1例
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概要
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【現病歴】2010年2月、関節リウマチにてかかりつけの他院外来定期受診時に鼠径リンパ節腫大を複数認めた。4月に同院精査入院したところ両側副腎腫瘍を認めた。しかし、ACTH、sIL-2R 軽度上昇以外、下垂体MRI、胸部CT、骨髄検査、上部内視鏡、腫瘍マーカーなどに異常所見は認めず、右鼠径リンパ節生検施行するも反応性変化として確定診断には至らなかった。4月30日にPET-CT検査を施行し、右鼠径、傍大動脈リンパ節、両側副腎腫瘍に集積を認め、悪性リンパ腫疑いにて5月17日、当院紹介初診した。その後、7月1日から右頬部のしびれ感、右眼窩後部痛を認め、複視も出現したため、頭部MRIを施行し、右海綿静脈洞付近に腫瘤を認めた。7月13日に副腎腫瘍に対しCT下生検施行目的に当科第1回入院し、CT下生検を試みたが穿刺困難であった。また右下肺結節に対してCT下肺生検を行い、組織型はMALTリンパ腫となり、精査・加療目的に同年7月30日当科第2回入院した。 入院後、R-CHO療法とMTX+Ara-C髄腔内投与を施行し、病変は縮小した。,【考察】悪性リンパ腫はしばしば副腎への浸潤をきたすが、副腎に原発する非ホジキンリンパ腫は非常に稀で、非ホジキンリンパ腫の1%以下の頻度と言われている。文献的には本邦で約50例、世界的にも100例程が報告されている。主に高齢男性に多く、組織型の約90%がB細胞性でうち70%がDLBCLであった。対して副腎原発の低悪性度MALT型リンパ腫の報告は5例程であったが、MALTリンパ腫の報告はほとんどみられない。,またMALTリンパ腫は多彩な節外病変を認めるが、今回、両側副腎・肺・海綿静脈洞など全身にわたる多発病変を認めた両側副腎原発非ホジキンリンパ腫(MALT)の症例を経験したため報告する。
- 2013-03-31
著者
-
増田 道彦
東京女子医大血液内科
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浅野 千尋
東京女子医科大学血液内科
-
榎本 有希
東京女子医科大学医学部血液内科学
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兒玉 聖子
東京女子医科大学医学部血液内科学
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浅野 千尋
東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科
-
浅野 千尋
東京女子医科大学 八千代医療センター内科
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