t(6;11)(q27;q23)の染色体異常を伴う高齢者急性骨髄性白血病の1例
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概要
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症例は70歳、男性。かかりつけ医での定期血液検査にて汎血球減少、末梢血中に芽球の出現を認めたため当院に紹介され受診となった。骨髄検査にてペルオキシダーゼ染色陽性の芽球を93.2%認め、急性骨髄性白血病(FAB分類M1 WHO分類Acute myeloid leukemia without maturation)と診断した。染色体検査ではt(6;11)(q27;q23)の染色体異常を認めた。これに対して寛解導入療法を行うも、芽球 13.0%と寛解に至らなかったため、寛解導入療法を再度行い、完全寛解に至った。高齢であったものの、全身状態は良好で臓器障害の合併を認めず、予後不良の染色体異常を認めたことから、寛解後療法として大量シタラビン療法を選択した。治療開始後は寛解状態が保たれていたが、第3コース終了時に行った骨髄検査にて芽球が13.3%と再発を認めた。本人の希望により積極的な治療を行わず、支持療法のみを行い、診断から約1年後に死亡した。,急性骨髄性白血病の発生頻度は年齢とともに増加し、発症年齢の中央値は65歳から72歳とされているが、高齢者の急性骨髄性白血病は一般的に予後不良である。原因として臓器機能の低下、Performance statusの低下、予後不良染色体異常の増加などが挙げられる。高齢者の急性骨髄性白血病に対する治療は確立されたものはなく、現時点では若年者と同様の化学療法を施行することが多い。しかし若年者と比較し早期死亡率が高く、満足する治療効果が得られていない。今回我々は完全寛解到達後に大量療法を行い、治療関連死亡は認めなかったものの、化学療法中に治療抵抗性を示し死亡した1例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
- 2013-03-31
著者
-
増田 道彦
東京女子医大血液内科
-
浅野 千尋
東京女子医科大学血液内科
-
石森 紀子/兒玉
東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科/東京女子医科大学医学部血液内科学/東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科/東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科
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石森 紀子
東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍科
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兒玉 聖子
東京女子医科大学医学部血液内科学
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浅野 千尋
東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科
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浅野 千尋
東京女子医科大学 八千代医療センター内科
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