急性リンパ性白血病に合併した腸管嚢胞様気腫症の1例 : 血液疾患に合併する同症についての文献的考察を加えて

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急性リンパ性白血病に対する化学療法中に腸管嚢胞様気腫症(PCI)を合併した症例を経験したので、成人血液疾患に合併するPCIについて文献的考察を加えて報告した。症例は16歳男性。急性リンパ性白血病と診断され、化学療法により完全寛解を得たが、地固め療法中に腹痛と下痢を認め、腹部単純X線と腹部CTによりPCIと診断された。絶食、輸液、酸素吸入などの保存的治療によって改善した。当科において最初のPCI症例であった。PCIは、腸管の粘膜下や漿膜下に多発性の嚢胞状の気体の貯留を認め、下痢や腹痛などの腹部症状を起こす比較的稀な疾患であり、1969年から2012年の間、約70例の血液疾患にPCIが合併したことが報告されたが、約7割が小児血液疾患患者への合併であり、成人症例は少ない。我々は自験例を含めた14例の成人症例について検討した。男女比は4対3、平均年令は35才、原疾患は約半数が急性骨髄性白血病で、PCI発症時の状況は化学療法中と骨髄移植後がほとんど同数であった。化学療法中の症例ではほぼ全例が骨髄抑制の時期に発症しており、投与された薬剤の中ではビンクリスチンやエトポシドなどが発症に関わっている可能性が示唆された。また移植後の症例は、ほぼ全例が移植片対宿主反応(GVHD)を起こしておりステロイドが長期にわたり投与されていた。骨髄抑制やステロイドなどの免疫抑制剤の長期投与により免疫機能が低下した状況において、腸管粘膜毒性や神経障害などの副作用を持つ抗ガン剤や、移植例においては腸管粘膜の損傷をもたらすGVHDが加担して腸管壁内へガスの侵入を許し、PCIを発症することが推察された。, 一方でPCIは、腹部単純X線やCT撮影を行えば診断も困難ではなく、絶食、輸液、酸素吸入などの保存的療法で改善する予後良好な疾患である。血液疾患の治療にあたり、PCIを念頭においておく事が重要であると考えられた。
2013-03-31

急性リンパ性白血病に合併した腸管嚢胞様気腫症の1例 : 血液疾患に合併する同症についての文献的考察を加えて

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