がんの最新治療 各論(4)慢性骨髄性白血病
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概要
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慢性骨髄性白血病は造血幹細胞のクローン性増殖を本態とする造血器腫瘍である。90%以上の症例で特異的染色体異常である9番染色体と22番染色体間の相互転座の結果生ずる異常染色体(フィラデルフィア染色体)が存在する。この染色体異常の結果生ずるBCR-ABL融合遺伝子の産物はチロシンキナーゼであり、慢性骨髄性白血病の病態に深く関与する。慢性骨髄性白血病は、慢性期の初期は無症状であるが進行するに従い徐々に症状が出現し、無治療であれば平均3〜4年の経過で急性転化期に移行し死亡する。1980年代までは有効な治療法がなく、ほとんどの患者が急性転化期に移行して死亡していたが、近年、分子病態の解析が進み、目覚ましい治療法の進歩がみられている。なかでも、2000年代になって登場したBCR-ABL特異的チロシンキナーゼ活性阻害薬イマチニブは、それまでの慢性期慢性骨髄性白血病の標準的治療法であるインターフェロンαとの比較試験で、圧倒的な差をもって全生存期間の延長効果を示し、標準治療法となった。イマチニブにより、慢性期慢性骨髄性白血病患者の長期生存率は90%程度にまで到達するようになった。さらに臨床効果の高い第二世代チロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブとニロチニブが登場し実臨床で用いられている。現在、これらの薬剤で慢性骨髄性白血病の治癒は可能なのか、治療をやめることができるのかが議論となっている。しかし、一方で、急性転化症例にはチロシンキナーゼ阻害薬の効果は不十分で、予後は不良である。また、チロシンキナーゼ阻害薬不応症例の存在などの問題があり、さらなる治療法の進歩が望まれる。
- 2013-06-25
著者
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