(最終講義)私の歩んだ血液内科学の道-急性白血病の病態と治療の進歩-
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概要
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正常の骨髄造血細胞の培養方法の開発に伴い、白血病細胞の培養法も確立された。その結果、正常造血前駆細胞に作用する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)やインターロイキン5などの造血因子が白血病細胞の増殖や分化をもきたすことが判明した。In vitroで得られた結果に基づいてG-CSFは急性骨髄性白血病(AML)の臨床に広く用いられている。G-CSFは、末梢血中に白血病細胞が存在するときには使用しないことが推奨されている。AMLにおける寛解率は近年改善してきているが、寛解に入った患者でも半数以上の患者は白血病の再発をきたし、薬剤不応性で死亡の転帰をとる。薬剤耐性の代表的な原因は、多剤耐性遺伝子の産物であるP糖蛋白である。P糖蛋白は薬剤を細胞外に放出するポンプとして作用する。P糖蛋白を有する白血病細胞では細胞内ダウノルビシン含有濃度が低く、その結果として白血病細胞のみならず、白血病性前駆細胞の薬剤感受性も低い。P糖蛋白の存在は寛解導入を左右する因子であるが、再発時の薬剤耐性を説明するのは難しい。最近の研究からは再発時の白血病細胞に生じる分子学的な変化が治療不応性の原因になってことが示唆される。
- 2013-12-25
著者
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