白血病細胞におけるWnt/β-カテニンシグナル伝達経路と薬剤耐性
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概要
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Wntシグナル伝達経路は哺乳類を含め生命の初期発生から形態形成まで、また出生後細胞運命の調節、様々な疾患の発症、がん化などに関わっている重要な経路である.その中一つであるWnt/β-カテニン経路は、造血幹細胞や前駆細胞だけではなく、白血病幹細胞の増殖、分化、自己再生能及び恒常性維持などに重要な役割を果たしていることがよく知られるようになってきた.Wntが受容体に結合すると、細胞質中にβ-カテニンのタンパク量の調節より核内TCF/LEF転写因子を介して、標的遺伝子の発現を促進することにより、細胞の増殖、分化などを制御する.この経路にWntタンパク、β-カテニンや転写因子などの異常発現が白血病細胞でよく検出され、腫瘍の進展への関与も注目されている.最近、Wnt受容体FZD1が薬剤耐性遺伝子(MDR1)を活性化することが報告され、Wnt/β-カテニン経路が薬剤耐性に関与する可能性が考えられる.本稿では、これらについて概説するとともに、現在までに得られた知見を紹介する.
- 2013-03-31
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