日本産ホソヒゲマガリガ科の分類学的知見
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概要
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ホソヒゲマガリガ科(改称)Prodoxidaeは全北区,特に新北区を中心に分布することが知られている.日本では本科に含まれる種としてヘリモンマガリガGreya marginimaculata 1種のみが知られていたが,筆者らは本科に含まれる2属4種を日本から新たに確認した.Lampronia Stephens,1829マダラマガリガ属(新称)L.altaica Zagulajev,1992アルタイマガリガ(新称)開張9-10mm.前翅は暗い黄褐色で金色の弱い光沢を帯び,特徴的な白斑をもつ.雄交尾器のvalvaは中央で著しくくびれ,腹面側には刺毛が櫛歯状に並ぶ.雌交尾器のcorpus bursaeに一対の放射状のsignaをもつ.1998年7月に杉島一広氏によって北海道の大雪山で採集された.L.corticella(Linnaeus,1758)キマダラマガリガ(新称)開張10-11mm.前翅は暗い灰褐色で,淡黄色の細かいまだら状の斑紋をもつ.雌交尾器の産卵管の先端は平たく,corpus bursaeに一対の放射状のsignaをもつ.北海道の糠平で採集された雌のみを確認した.L.flavimitrella(Hubner,1817)フタオビマガリガ(新称)開張11-12.5mm.前翅は暗褐色で赤褐色の弱い光沢を帯び,2本の白い帯紋をもつ.雄交尾器のvalvaは中央で著しくくびれ,先端には鋭く尖った硬化部をもつ.雌交尾器のcorpus bursaeに一対の放射状のsignaをもつ.北海道および長野県で採集されている.Greya Busck,1903モンマガリガ属(新称)G.marginimaculata(Issiki,1957)ヘリモンマガリガ開張12.5-14.5mm前翅は黄褐色で金色の光沢を帯び,縁に白い斑紋をもつ.本種はIssiki(1957)によってLamproniaの種として記載されたが,Kozlov(1996)が本種をGreya属に移した.雄交尾器のvalvaは太く,腹面側に1-2個のpollexをもつ.長野県および石川県の白山で採集されている.G.variabilis Davis and Pellmyr,1992アラスカマガリガ(新称)開張16mm.前翅は黄褐色で金色の光沢を帯び,縁に白い斑紋をもつ.斑紋は非常に多くの変異をもつ(Davis et al.,1992).雌交尾器のcorpus bursaeにはsignaをもたない.本種はこれまでアラスカを中心とした北米ならびにシベリア東部(チュクチ半島)に分布することが知られていたが,平野長男氏が1986年9月に長野県の安房峠で採集した雌一個体を確認した.
- 2002-01-10
著者
-
広渡 俊哉
Entomological laboratory, Graduate School of life & Environmental Sciences, Osaka Prefecture Univers
-
岡本 央
Entomological Laboratory Graduate School Of Agriculture And Biological Sciences Osaka Prefecture Uni
-
広渡 俊哉
Entomological Laboratory College Of Agriculture Osaka Prefecture University
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