頭外音像定位における外耳道伝達関数補償の影響(電気音響,音響一般)

概要

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イヤホンを用いて頭外に音像を生成する頭外音像定位には,頭部伝達関数(HRTF)とイヤホンの入力から外耳道内までの外耳道伝達関数(ECTF)が必要である.このECTF補償を行わない場合は,音像が頭外定位しがたくなったり,音色が変化したりする.しかし,ECTF補償が音像定位精度にどのような影響を与えるかについての詳細な検討はなされていない.そこで本論文では,ECTF補償が音像定位精度にどのように影響を与えるかを明らかにすることを目的とした.まず,HATS及び実耳でイヤホンの着脱を繰り返してECTFを測定し,着脱による偏差が少ない複数種類のイヤホンを選定した.次にそれらのイヤホンを用いて,ECTF補償条件を変化させて音像定位試験を行った結果,被験者本人のECTF補償を行った場合に比べ,HATSのECTF補償ありや,ECTF補償なしの場合では音像定位精度が劣化することが分かった.そして,ECTF補償が音像定位精度に与える影響は,使用するイヤホンの種類により異なることを明らかにした.また,ECTF補償条件の違いによる音像定位精度の劣化は,補償に伴う両耳間レベル差の変動に起因することが示唆された.
2009-01-01