遺伝子組換え大豆および豆腐中の組換え遺伝子の同定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
世界で初めて遺伝子組換えが成功したのは1973年であるが、それ以来、この技術を利用していくつかの遺伝子組換え作物が作出されている。例えば、グリホサートは植物のアミノ酸合成関連酵素を阻害するため、除草剤として使用されてきたが、ダイズにおいては土壌細菌由来のEPSPS遺伝子を導入し、グリホサートによるアミノ酸合成阻害を補填する遺伝子組換えダイズが作られている。これは、除草剤耐性ダイズである。遺伝子組換え作物およびその加工食品中の導入遺伝子を検知する技術は、遺伝子組換え食品の表示問題との関連から世界各国で研究、開発が行われている。しかし、遺伝子組換え作物やその加工食品の導入遺伝子やその産物を簡便に検知する方法は、未だ確立されていない。本研究では、組換え遺伝子の簡易検知法を開発すべく、輸入ダイズおよび豆腐における除草剤耐性遺伝子の検知法の開発を試みた。遺伝子組換えダイズはモンサント社の除草剤耐性ダイズ、豆腐は市販のもの、また海外より輸入されたダイズも使用した。CTAB法を改良することで、ダイズおよび豆腐からPCR法を用いるために十分な量のDNAを簡便に抽出することができた。抽出したDNA溶液の260nmと230nmおよび260nmと280nmの吸光度比により、抽出されたDNAが十分に精製されていることが確認された。これはフェノールおよび塩析により多糖類、タンパク質を効率よく除去できたためであろうと思われる。よって、DNA抽出におけるRNase処理等を省略でき、既報より少なくとも1時間の処理時間短縮、DNA抽出を2時間以内に実行可能であった。Agrobacterium tumefaciens由来のEPSPSを含む領域を増幅するプライマーを用い、95℃で5分保持後、95℃30秒、57℃30秒、74℃60秒の30サイクルで増幅反応を行った。さらに、PCR法によって増幅されたDNA産物をアガロースゲル電気泳動法によって分析した結果、レクチン(818bp)およびEPSPS遺伝子(513bp)が増幅されていることが確認された。これらの結果から、本研究によって開発された実験方法はダイズおよびその加工食品における除草剤耐性遺伝子の簡易検知法として有効であることが確認された。
- 日本食品化学学会の論文
- 2000-10-28
著者
-
日野 明寛
独立行政法人食品総合研究所
-
鎌田 博
筑波大学生物科学系
-
佐々木 和生
青森大学薬学部
-
佐々木 和生
青森大学工学部生物工学科
-
梅津 博紀
青森大学薬学部
-
鎌田 博
筑波大学遺伝子実験センター
-
山口 秀明
青森大学大学院環境科学研究科
-
木立 由美
青森大学工学部生物工学科
-
白間 和志
青森大学工学部生物工学科
-
清川 繁人
青森大学工学部生物工学科
-
猟山 一雄
青森大学工学部生物工学科
-
松岡 猛
農林水産省食品総合研究所
-
日野 明寛
農林水産省食品総合研究所
-
梅津 博紀
青森大学工学部生物工学科
-
日野 明寛
農水省食総研
-
鎌田 博
筑波大・院・生命環境
-
猟山 一雄
青森大学 大学院
-
猟山 一雄
青森大学工学部
-
日野 明寛
農林水産省農林水産技術会議事務局バイオテクノロジー課
-
鎌田 博
筑波大学生物学系
関連論文
- 組換え農作物の安全性評価のための食品成分データベースの作成
- 3J09-5 GMO検出のためのマイクロフロー型PCRチップの開発(センサー・計測工学・ロボット工学,一般講演)
- 35.シロイヌナズナ切断花茎の組織癒合に関与する植物ホルモンシグナリングと転写因子(口頭発表)
- 3-Dクリノスタット搭載用細胞固定容器の基礎的検討
- 微小重力下における細胞サイズ分離と細胞懸濁液を含むゲル化剤の固化検証
- 遺伝子組換え食品中のNPTIIタンパク質検出用ELISA法の構築
- 遺伝子組換え大豆および豆腐中の組換え遺伝子の同定
- ニンジン不定胚の糖タンパク質について
- B3-51 ニンジン不定胚形成に及ぼす細胞密度の効果に関する研究 : I低分子性の阻害因子について
- B3-49 ニンジン培養細胞におけるIAA代謝に関する研究 : 2.不定胚形成能とIAA代謝の関係
- 39 ニンジン培養細胞におけるIAA代謝に関する研究 : 1.IAA不活性化機構
- 植物の防御システムを担うペプチド性シグナル物質
- P1-54 マウス舌上皮から樹立した上皮細胞株の性状解析
- Agrobacterium rhizogenesによるキウイフルーツの毛状根の誘導と形質転換体の獲得
- 実験転移腫瘍系による沢ワサビ成分 6-(methylsulfinyl) hexyl isothiocyanate の転移抑制効果
- Multiplex PCR法を用いた組換えトウモロコシ5系統からの組換え遺伝子の検知法
- 製パンにおける食塩量の低減と塩化カリウム代替の影響
- Duplex PCR法を用いた遺伝子組換えパパイヤ改良検知法
- 海産紅藻スサビノリ(Porphyra yezoensis)の糸状体DNAのRAPD-PCRによる品種同定
- 82.シロイヌナズナ切断花茎の組織癒合にはオーキシンとエチレンのシグナリングが必要である(口頭発表)
- 種子植物の胚発生に関与する植物生長調節物質とその生理作用(総説 植物化学調節物質から見た発生・生長制御)
- 食品からの遺伝子組換え体の検知状況
- 遺伝子組換えトウモロコシ(Mon810系統)の定量PCR法を対象とした外部精度管理試験
- 遺伝子組換えライスの検知を目的としたラテラルフロ-法によるCryIAcタンパク質の検出法の検討
- 遺伝子組換えトウモロコシCBH351系統からの組換え遺伝子の検知法
- ダイズ及びダイズ加工食品からの組換え遺伝子の検知法(第1報)
- 遺伝子組換え食品の安全性評価
- S2-1 味覚関連遺伝子の探索とその機能解析(味覚の受容から認知に至るしくみ-最近のトピックス-, 2005年度日本味と匂学会第39回大会)
- 新規味物質探索系の構築 : 官能検査の短所を克服したシステム. 呈味増強物質の探索などに期待
- キュウリ胚軸の皮層における組織癒合過程への無機元素の関与
- キュウリ導管液タンパク質XSP30の根維管束組織特異的遺伝子発現とレクチン活性
- キュウリ切断胚軸の組織癒合に関与する根導管液因子の探索
- 遺伝子組換えパパイヤからの組換え遺伝子の検知
- オゾンストレスにおける植物ホルモンの役割
- 1L1115 オゾン暴露ストレス時におけるサリチル酸合成経路の特定
- UV-B照射したキュウリ緑葉のDNAに蓄積するシクロブタン型ピリミジンダイマーの定量
- 高等植物の光周性機構
- セッション"Hormone and Reproductive Growth and Development"の発表について
- シキミ酸リン酸化酸素II発現系の構築とシキミ酸3-リン酸の調製
- CaMV35Sプロモータ配列を持たない遺伝子組換えトウモロコシGA21系統の系統特異的定量分析法の開発
- 国産及び輸入ダイズ並びに豆腐からのグリホサート耐性遺伝子の検知状況
- 光周性花成誘導に関与する時計制御遺伝子(PnC401)の発現解析
- 植物の暗誘導性の時計制御遺伝子(CCG)のプロモーターの構造
- 高等植物における光周性花成誘導時に発現する時計制御遺伝子の単離
- 光周性の異なる植物間における時計制御遺伝子の発現パターンの比較
- 時計制御遺伝子C401の発現解析
- GLP(germin-like protein)mRNAの光周性と生物時計制御性の発現について
- キュウリ (Cucumis sativus L. ) の葉特異的GLP (germin-like protein) のcDNAクローニングと発現解析
- アサガオCalmodulin遺伝子のクローニングと発現解析
- イネとアサガオのfloricaula-leafy homologの発現解析
- アサガオのgermin-like proteinの発現解析
- Differential display法によるアサガオ花成誘導特異的遺伝子のクローニング
- P2-33 TIR3と味覚受容関連遺伝子の味蕾における発現様式の比較
- W1-2-2 DNAマイクロアレイを用いた味受容関連遺伝子の網羅的探索(パート2.味・食、新手法など)(味と匂いの研究の新機軸を目指して)
- トレハラーゼ遺伝子破壊酵母の冷凍耐性 : 微生物
- 冷凍生地製パン用の冷凍耐性酵母〔英文〕
- わかり始めた味覚受容の仕組み : 初の甘昧受容体遺伝子 T1R3 のクローニングに成功
- 冷凍耐性パン酵母(目で見る食品化学)
- 遺伝子組換え食品とその分析技術
- 遺伝子組換え技術と食品 : 将来の深刻な食糧不足に備える積極的な手段として
- 遺伝子組換え食品 (暮らしと安全 11)
- 遺伝子組換え農作物の開発の現状
- 14. 冷凍生地製パン用酵母の育種とその耐性機構(セミナー「食品における低温の利用」)
- 冷凍耐性酵母の取得法(図解・微生物の育種)
- 冷凍耐性酵母の育種(微生物-醸造-)
- 冷凍耐性酵母FRl501の特性について(微生物-醸造-)
- 耐塩性酵母Zygosaccharomyces rouxii SR-2株のプロトプラスト化および再生条件の検討
- Zygosaccharomyces rouxii SR-2株のコバルト60・γ線照射による栄養要求変異株の分離
- 植物におけるDNA多型の検出方法とその応用
- 農産物遺伝子組換え体の検知・判定技術
- 遺伝子組換え体の検知技術の開発の現状
- 遺伝子組換え食品の現状
- 遺伝子組換え食品と安全性評価
- トウモロコシ穀粒における非意図的組換え遺伝子の検知
- 味覚研究へのDNAチップの応用
- 遺伝子組換え農産物の最新検知技術
- 神経分化マーカーMash-1と味覚情報伝達関連遺伝子gustducin, TIR2の発現様式の比較
- 遺伝子組換えダイズ(ラウンドアップ・レディー・大豆40-3-2系統)の定量検査法の外部精度管理試験
- トウモロコシからの組換え遺伝子の検知法
- 遺伝子組換え植物の安全性研究の現状と展望
- トレハロース代謝系改変による冷凍耐性酵母の作出
- 有郭乳頭上皮ライブラリーnの部分プロファイリング
- 外国製のトウモロコシおよびジャガイモ加工食品からの遺伝子組換え体の検知
- PCR法によるRiプラスミド rol 遺伝子の検出と形質転換確認への応用
- Ri プラスミド rol 遺伝子によるペチュニアの形質転換
- キリ (Paulownia fortunei) の葉肉プロトプラストからの植物体再生
- 浸透圧ストレスによるニンジン不定胚形成の誘導
- 次亜塩素酸によるニンジン種子からの不定胚誘導
- 不定胚分化に与える細胞密度の影響
- Agrobacterium rhizogenesによる毛根病 : 発病機構と毛状根の特性
- 植物組織培養における培地固型化剤の役割
- 植物科学の革命児アグロバクテリウム
- トランスジェニック植物の"落し穴"
- 西洋ワサビ (Armoracia rusticana) の毛状根および再分化植物体中からの辛味成分の同定
- 日本の遺伝子研究における筑波大学遺伝子実験センターの役割
- ナス科植物の毛状根からのジャガイモシストセンチュウふ化促進物質の分泌
- ニンジンクラウンゴ-ルにおけるアミノ酸結合型IAA生成に対するオ-キシンの効果〔英文〕
- 28. アサガオ品種ムラサキの一回の短日性花成誘導に対するKODA の影響(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- 熱ストレスによるニンジン体細胞不定胚誘導〔英文〕
- Riプラスミド形質転換チコリの花芽形成におけるバ-ナリゼ-ションの非要求性〔英文〕