小学校教員養成科目としての家庭科の課題(1) : 基礎技能に関する調査を通して

概要

論文の詳細を見る
学校の教育活動は、さまざまに限定された枠の中で計画的・組織的に行われている。それは家庭科も例外ではない。目標を達成することにより習得される学力が、次の学習の前提となるように仕組まれている。とくに実践的・体験的教科である家庭科においては、実習での技能の未習得は後続学年の学習に大きな負担となる。本稿の目的は、小学校教員養成科目としての家庭科教育の課題を探索することにある。筆者らは、小学校教員を目指す大学生と短大生を対象に調理と縫製と洗濯に関わる技能全58項目に関する質問紙調査を実施した。また、同時に用具名称等のテストを実施した。調査の結果から以下のような知見を得た。(1)調理技能の4項目、縫製技能の16項目は、家庭よりも家庭科で学んだ記憶が多い。(2)学生の約95%は、調査項目のうち13項目を「できる」と自己判定したが、それらの実習に使用する用具および各部の名称が正確に記憶されていない。これらの結果を小学校教員養成科目としての家庭科の課題として受けとめ、大学・短大のカリキュラムとシラバスについて検討・改善していきたい。