教員志望大学生の被服購入時の意識と衣生活の実態
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概要
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本研究では、教員志望の大学生における被服購入の実態と意識について、性別および取得しようとしている教員免許状の種類によって考察し、家庭科教員養成のカリキュラム構築に示唆を得ることを目的とした。調査は、九州地区の教員免許取得希望大学生を対象に、無記名自記式集合調査を行った。内容は、被服購入時の意識、衣服購入や手入れの実態などについてである。本研究で明らかになった結果を以下に述べる。1) 男女とも「かっこうよく見えること」は被服購入時に重視する項目の上位であったが、その自由記述部分を分析すると、「かっこうよく見えること」の内容は男女で同じではなかった。その他の項目では性別によって気にかける項目は異なった。2) 取得を希望する免許にかかわらず、被服購入時には外観評価を重視していた。家庭免許状取得希望者 (女) は「手入れが簡単なこと」を、小免許状取得希望者 (女) は「長く着られること」も購入時に重視する傾向があった。3) 日常の衣生活において、自分の被服購入や手入れの実践率は男性が低い傾向にあった。特に、手入れの頻度では、家庭免許状取得希望者 (女) の実践率がもっとも高かった。以上の結果を踏まえ、家庭科担当教員養成大学での衣生活教育について、次のような提案をしたい。1) 多くの大学生が上位に位置づけた「見た目」のような外観評価を教材に取り入れることで、より被服への関心を深めさせることができる。2) 小学校免許状取得希望学生に対しては、重視する順位が低かった「手入れ」について、その必要性を考えさせる機会を増やすことが必要である。そのためには、衣生活の実践等を向上させること、授業の中で被服材料や被服管理に関することを充実させることが考えられる。3) 家庭科免許状取得希望学生については、居住形態にかかわらず、自分で全ての衣生活を実践することを推奨したい。
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