成長期の交叉咬合患者における下顎側方偏位の分類

概要

論文の詳細を見る
下顎側方偏位は,成人だけでなく成長期にも認められるが,この時期の詳細な検討を行った報告はみられない.そこで今回,われわれは成長期の下顎側方偏位の要因に対して,クラスター分析を用い成長期の下顎側方偏位がどのように分類されるか検討した.6〜18歳の交叉咬合患者51名を対象とし,初診時の正面頭部X線規格写真と口腔模型を計測し,その値に対してクラスター分析を行い,被験者を大きく5つのクラスターに分類した.さらに各クラスクーについて相関分析を行った.その結果,各クラスターの特徴は,(1)Meの偏位が上顎第一大臼歯の左右的位置と相関関係を示すもの,(2)Meの偏位がAg line angle, Mo line angleと相関を示すもの,(3)Ag line angleがMs line angle, Cd line angleと相関するもの,および(4)下顎の偏位についての明確な特徴がみられないものがあり,また,5つのクラスターのうち2つが(4)を示すことが分かった.以上の結果より,成長期の下顎側方偏位を,(1)下顎骨が体軸に対して回転しているもの,(2)左石の下顎枝長の不調和を示すもの,(3)側頭骨部から変形しているもの,および(4)明確な特徴をもたないものという4項目に分類することができた.また各クラスターの分布割合を算出し,成人データと比較したところ,成長期では側頭骨部より変形しているものが多いことがわかった.さらに本研究の被験者において12歳を境界とし,成長前期と後期での分布割合をみたところ,成長前期では側頭骨部から変形しているものが,成長後期では下顎骨が体軸に対して回転しているものが多くなることがわかった.以上の結果より,成長期の側方偏位の要因も成人と同様に4種類に分類しそれぞれの特徴を明らかにすることができた.また,成長段階によって側方偏位の様相が異なることが示唆された.
大阪歯科学会の論文
2006-12-25

成長期の交叉咬合患者における下顎側方偏位の分類

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク