歯列弓内側からの矯正治療における下顎中切歯の移動様式に関する研究

概要

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歯列弓内側からの矯正治療における歯の移動様式を明らかにするため,2次元有限要素法を用い,歯の歯冠舌側に荷重を加えた場合の歯周組織の力学的反応を,歯冠唇側に荷重を加えた場合と比較して検討した.有限要素法の汎用プログラムを用い,歯と歯周組織を含んだ2次元の有限要素法解析モデルを作製した.そのモデルの歯冠舌側中央部に,唇側に向かって歯軸に直角に,水平方向,水平方向に対して30°,60°および90°方向の力を加えた場合の歯周組織の応力分布をそれぞれ求めた.さらに,歯冠西側中央部に同様の荷重を加えた場合の応力分布を求め,各々の条件で歯冠舌側に荷重を加えた場合と比較検討した.また,歯列弓内側からの矯正治療と唇側からの矯正治療との非抜歯での下顎前歯レペリング時の移動様式の差を,術前術後の頭部×線規格写真の下顎前歯の変化量を統計学的に比較することによって検討した.結果は以下のとおりであった.1.有限要素法の比較では,歯冠舌側中央部と歯冠唇側中央部に唇側に向かって水平方向に加力した場合の歯周組織には応力分布の差は認められなかった.加力の方向を水平に対して30°,60°および90°にするに従い,歯根唇側中央部歯周組織の応力分布が舌側に加力した場合より,唇側に加力した方が多くなった.2.頭部×線規格写真の計測値の比較においては,下顎歯列を非抜歯にてレペリングした場合,唇側からの治療の場合,歯列弓内側からの治療に比べて下顎前歯が有意に唇側傾斜していた.
大阪歯科学会の論文
2003-03-25

歯列弓内側からの矯正治療における下顎中切歯の移動様式に関する研究

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